年収1000万円以上なら「お金持ち」とも限らない。純貯蓄額が少ない「高所得貧乏」になる理由
世帯年収1000万円超の割合は多くなった?
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収の割合は下記の結果となりました。 ●所得金額階級別世帯数の分析(2023年調査) ・100万円未満:6.9% ・100~200万円:14.6% ・200~300万円:14.5% ・300~400万円:12.9% ・400~500万円:10.7% ・500~600万円:8.5% ・600~700万円:6.4% ・700~800万円:5.8% ・800~900万円:4.6% ・900~1000万円:3.7% ・1000~1100万円:2.6% ・1100~1200万円:2.3% ・1200~1300万円:1.8% ・1300~1400万円:1.0% ・1400~1500万円:0.8% ・1500~1600万円:0.7% ・1600~1700万円:0.3% ・1700~1800万円:0.3% ・1800~1900万円:0.3% ・1900~2000万円:0.2% ・2000万円以上:1.3% 世帯年収1000万円超の割合は全体の11.6%で、給与所得者の年収1000万円超の割合よりも高くなっていることがわかります。 近年では共働き世帯が増えていることから、夫婦で協力して世帯年収1000万円を目指す世帯が多いのでしょう。 実際に、総務省統計局の「家計調査」によると、年収1000万円超の世帯のうち約7割が、共働き世帯です。 さらに、年収が低い世帯ほど共働き率が低くなっていることから、「収入の高さと共働き率」は大きく影響し合っていることがうかがえます。 年収が高いほど、貯蓄も多い印象を持つ方もいるかもしれませんが、世帯年収1000万円以上の貯蓄事情はどのようになっているのでしょうか。 次章にて、世帯年収1000万円以上の平均貯蓄額を見ていきましょう。
世帯年収1000万円以上の平均貯蓄額
総務省統計局の「家計調査」によると、世帯年収1000万円以上の平均貯蓄額は下記のとおりです。 ・年収1000~1250万円:平均貯蓄額2029万円 ・年収1250~1500万円:平均貯蓄額2418万円 ・年収1500万円以上:平均貯蓄額4014万円 世帯年収1000万円以上の平均貯蓄額は、2000万円を超えており、年収1500万円以上の世帯は平均貯蓄が4014万円となっています。 この数値をみて「年収が高い世帯は貯蓄も多い」と思った方もいるかもしれませんが、これは「純粋な貯蓄額」ではありません。 老後資金や教育費などに充てられる純粋な貯蓄を確認するためには、上記の貯蓄額から「負債額」を差し引く必要があります。 次章にて、世帯年収1000万円以上の「負債額」と「純貯蓄額」について確認していきましょう。 ●世帯年収1000万円以上の「負債額」と「純貯蓄額」 総務省統計局の「家計調査」によると、世帯年収1000万円以上の負債額と純貯蓄額は下記の結果となりました。 ・年収1000~1250万円:負債額:1322万円、純貯蓄額:707万円 ・年収1250~1500万円:負債額:1387万円、純貯蓄額:1031万円 ・年収1500万円以上:負債額:1550万円、純貯蓄額:2464万円 年収1000万円以上の世帯の平均負債額は1000万円台となっており、住宅ローンや車のローンなど、高額な負債を抱えている世帯が多い現状がみてとれます。 そのため、世帯年収1000万円以上の平均貯蓄額は2000~4000万円超となっていますが、負債を差し引いた純貯蓄額は700~2000万円台となります。 上記をふまえ、世帯年収1000万円以上であっても、計画的な家計管理と貯蓄努力がなければ、十分な資産形成は難しいと言えます。 これは年収1000万円以上の世帯に限らず、どの年収世帯にも言えるため、ご自身の家計状況に合わせて、貯蓄計画を立てていくことが大切でしょう。