Instagramで見つけた最高のヴィンテージ・レアウォッチ14選
伝説の時計師が手がけたパテック フィリップ「ノーチラス」から、ロレックスの極レアなクロワゾネ文字盤まで。米版『GQ』ウォッチ・エディターがピックアップ。 【写真14枚】惚れ惚れするヴィンテージウォッチの数々をチェック!
小難しいことを考えるのをいったんやめて、素敵な時計の数々をゆったりと眺める旅に出よう。いつだって楽しい「Instagram ウォッチランキング」の時間だ。以前からInstagramで見つけた魅力的でかっこいい時計の画像を集めてきたが、今回は新しいブランドやこだわり、ニュースも共有できるかもしれない。まずは番外編から始めよう! ■歴史的な「ノーチラス」 番外:伝説的な出自を持った@pieceunique_のパテック フィリップ「ノーチラス Ref.3800」 もしこの時計が@pieceunique_の手元にあったなら、私はこれを文句なしに1位にしただろう。しかし、本ランキングの神聖なルールでは、他人の画像を投稿するだけではトップに登りつめることはできない。 それでもこの時計はとても魅力的なものなので、誰しもに注目してもらいたいと思ったのである。パテック フィリップ「ノーチラス」はここ数年、間違いなく同ブランドでも随一の人気を誇るモデルだが、ここにあるアイテムはかつてある超大物セレブが所有していたものなのだ。 いや、少なくとも、時計の主ゼンマイの役割とは何かを説明できる人であれば、誰でも知っている有名人だ。その人物の名はジョージ・ダニエルズ。20世紀最高の時計職人として広く知られる彼は、この「ノーチラス」に自ら手を加えた。 @pieceunique_によると、1979年にパテック重役のアラン・バンベリーがダニエルズに接触した。ダニエルズが考案したコーアクシャル脱進機を見てのことだった。これは彼の代表的な発明のひとつで、従来型の脱進機を改良したものである。脱進機とはムーブメント内の動力を伝達する機構で、ダニエルズの改良によってメンテナンスなしで長持ちし、より正確な時間を刻むことができるようになった。 バンベリーがダニエルズに依頼したのは懐中時計の製作だったが、ふたりは腕時計の製作に移行した。「ノーチラス」の内部に収めるため、ダニエルズは自身のムーブメントをさらに薄くする必要があったが、最終的に3つのプロトタイプを製作することができた。 ダニエルズはこの「ノーチラス」を12年間着用した。コーアクシャル脱進機についてはどうか? オメガは99年に「デ・ヴィル」の限定モデルでこの脱進機を使い始め、現在ではほぼすべてのモデルに搭載されている。さて、いよいよランキングの発表だ! ■うっとりするキュートな時計たち 13. @little.old.watchesのスキャパレリ @little.old.watchesほど愛らしいヴィンテージ品を探し出す者はいない。今回は、真鍮のバックルがどことなく花びらのようなデザインになっているこのスキャパレリの時計だ。 12. @yeahitsjewelryと@yij.stacksのカルティエ シークレットウォッチ こんな可愛らしいものはほかに見たことがない。カルティエにはシークレットウォッチの長い歴史があるが、このデザインは特にクールだ。貝殻を象った装飾が大きな泡のような文字盤を隠している。ケースバックには「To Gloria With Love From Sy Oct. 3 1945(グロリアへ。サイより愛を込めて。1945年10月3日)」と刻印されている。うーん、素敵なメッセージだ。 11. @jaeger_collectorのカルティエ「アンベロープ」 封筒を模したシルバーのケースが二つに分かれ、中から小さな時計が現れる。なんてキュートなんだ! もっといろいろな形の時計を復活させる必要があるのではないか? これは40年代の確かなデザインのひとつだ。そのことに気づかせてくれたトニー・トレイナ(@Tony_Traina)に感謝である。トニーといえば、彼は今月初めがHodinkeeでの最後の仕事だと発表した。彼のこれからの動向が気になる人は、トニーのニュースレターに登録してみてほしい。彼のニュースレターは時計業界でも私のお気に入りのひとつである。 ■最近気になっているブランド 10. @jcchevのユニバーサル・ジュネーブ「ポールルーター サブ」 先週、ユニバーサル・ジュネーブの復活が間近に迫っているという記事を書いてからというものの、私はいつも以上にユニバーサルに夢中になっている。@jcchevの「ポールルーター サブ」のような時計を次々と目にすると、そうならずにはいられない。趣あるパティナがかかった琥珀色の針が印象的だ。 ■パール、ダイヤモンド、そしてタトゥー 9. @johnson167のカルティエ「ベニュワール Ref. 78094」 @johnson167のページはお宝で溢れかえっているが、この「ベニュワール」は特に好みだ。文字盤の輝くギョーシェ模様、外周に沿ってセッティングされたサファイア、ベゼルの2層のダイヤモンドなど、ひとつのアイテムに素敵なディテールがこれでもかと詰まっている。 8. @willionsltdlondonの宝石をちりばめたロレックスとオーデマ ピゲ 80年代は素晴らしい時代だった。この年代の過剰なまでの豪華さは、数々の素晴らしい時計に結実した。写真左の88年の「オーキッド」が証明しているように、ロレックスでさえ例外ではない。@willionsltdlondonのフレッドは、このふたつの時計にまつわる素晴らしいストーリーを教えてくれた。左のロレックスをデザインしたのは、ピアジェ「ポロ」などのモデルを手がけた重要な時計デザイナー、ジャン=クロード・ギュエであり、彼の息子で現在は独立時計師として有名なエマニュエル・ギュエが右のオーデマ ピゲに携わったのだという。「リンゴの実はリンゴの木から遠くへは落ちない」とはこのことである。 7. @kristianhaagenのカルティエ「クラッシュ」タトゥー これもキラーウォッチを常に持ち歩くためのひとつの方法だ。ディテールへのこだわりは素晴らしいものがある。「London」の文字に目を凝らしてほしい。もしあなたが腕時計関係のタトゥーに興味があるなら、こんな話がある。シュガー・レイのリードシンガー、マーク・マクグラスは、友人に100ドル賭けると言われ、賭けに勝つためにロレックスのロゴを体に彫った。彼は『TMZ』に対し、酔って犯した最悪の過ちのひとつだと語っている。@kristianhaagenの友人が同じ思いをしていないことを祈る。 6. @crazykirbyhのヴァシュロン・コンスタンタンによるペンダントウォッチ もし今年のウォッチコレクター・オブ・ザ・イヤーを選ぶとして、@crazykirbyhが受賞しなかったらとんでもないことだ。彼女がInstagramに投稿した画像を私が解説しているだけでも、このコラムは成り立つくらいである。しかし、そのなかからここ数カ月で最も気に入ったものをひとつ選ぶとすれば、ヴァシュロン・コンスタンタンのこのペンダントウォッチだろう。文字盤とベゼルに施された幾何学的なデザインを見ていると、簡単に催眠術にかけられてしまうようである。これほど優美な時計を手に入れたら、トップハットを被った実力者か、美を求めて希少な作品を盗む怪盗を気取るしかないだろう。 5. @watchesbyloganのジェラルド・ジェンタ「Ref. GGM1」 これは、今月ジュネーブで開催されたフィリップス・オークションに出品され、15万2400スイスフラン(約2670万円)で落札されたものだ。史上最高のウォッチデザイナー、ジェラルド・ジェンタによる作品で、伝統的な時計作りと現代的なディスプレイが組み合わされている。ウェストミンスター・チャイム付きのミニッツリピーターとマザーオブパールの文字盤が特徴だ。文字盤は、弧を描くレトログラード式の数々のインジケーターによって、飛行機の操縦パネルのように見える。フィリップスによれば、この「GGM1」はブルネイのスルタンのために特別に作られたものだという。 ■ゴールドでいこう 4. @johnswatchesのバイヤー「スプリットセコンド ムーンフェイズ クロノグラフ」 私は最近ゴールドに夢中で、特に貴金属と複雑機構を組み合わせた時計に惹かれている(@Dandywatchmanのオールゴールドのユニバーサル・ジュネーブ「トリコンパックス」も頭から離れない)。このゴールドのバイヤーは、創業者の息子である当時のブランドオーナー、テオドール・バイヤーのために特別注文で作られ、友人たちにプレゼントされたものだと伝えられている。つまり、ゴールド製であり技術的に高度であるだけでなく、驚くほど希少なのだ。 3. @mentawatchesのオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク Ref. 25654BA」 私がゴールドの時計に夢中だというのはこういうことだ。最近、この時計を手に入れたばかりの友人に偶然会った。直に見ると、まったく惚れ惚れする。言うまでもなく、オーデマ ピゲは前述のバイヤーやユニバーサル・ジュネーブがそのメカニズムでできなかったことをやってのけた。これらのモデルにはムーンフェイズに加えてクロノグラフが搭載されているが、オーデマ ピゲはストップウォッチ機能を超高性能の永久カレンダーに置き換えたのだ。これを手に入れることは、私にとって永遠の夢である。 ■最高の“ギーザーウォッチ” 2. @misterenthusiastのジェラルド・ジェンタ マザーオブパールの文字盤、永久カレンダー機能、ホワイトゴールドのケース、ベゼルと文字盤のダイヤモンドなど、この時計は多くの点で強い印象を放つ。しかし、私にとってこの時計がどうかしてると思うのは、新しいオーナーの手に渡る前に、まるで手作業で繊細に描かれたかのように見えるムーンフェイズである。フィリップ・トレダノこと@MisterEnthusiastは、この時計を「apex geezer(ギーザーウォッチ*の最高峰)」と呼んでいる。このジャンルは彼が考案したものだが、今では世界中のコレクターの脳裏に刻まれるようになった。 *注:「geezer(ギーザー)」は年配男性を指すイギリスのスラング。時計の世界では、ある程度の年月を経たヴィンテージ時計、あるいは年配男性が着けるタイプの時計のことをいう。 1. @mr.aのロレックス「Ref.6100」クロワゾネ文字盤モデル 見た瞬間、人をGoogleに向かわせるような作品だ。幸運なことに、検索した結果たくさんの発見があった。この作品は、今年5月にクリスティーズで27万7200スイスフラン(約4860万円)で落札されたものとまったく同じようだ。クリスティーズによると、この時計はロレックスの時計に紋章をあしらった3点しかないうちの1点で、「20世紀半ばの偉大なエナメル職人のひとり」であるマルグリット・コッホの手によるものだという。 クロワゾネ文字盤を持つロレックスの時計は一般的にも非常に珍しく、しばしば高額で取引される。2014年、まだ時計がこのような高値で取引される前、コッホが描いた船と鯨の絵が描かれたロレックスが120万ドルで落札されたが、これは当時オークションでロレックスの時計に提示された最高額だった。クロワゾネ文字盤のロレックスには、虹色の船やネプチューンが描かれたものなど、航海をテーマにしたものが多い。 From GQ.COM By Cam Wolf Translated and Adapted by Yuzuru Todayama