JAXAが月探査機「SLIM」によるピンポイント着陸成功を発表 探査ロボットが撮影した画像も公開
■LEV-1とLEV-2について
1月25日の会見では高度約5mでSLIMから放出された探査ロボット「LEV-1」と「LEV-2」の状況と成果も報告されました。 このうちLEV-1については2024年1月20日0時19分49秒~51秒の間にSLIMから放出され、同日0時19分51~53秒の間に月面へ着陸し、同日0時20分30秒から月面での活動を開始したことが明らかにされました。40分以上可能な限りと計画されていた活動時間は1時間51分程度続き、通信電波は同日2時10分に停止したとされています。LEV-1にはバネの力で月面を蹴るパッドが搭載され、跳躍(ホッピング)しながら移動できる仕組みになっていますが、取得されたデータからは月面で6回跳躍したことが確認されています。 一方、愛称のSORA-Qで知られるLEV-2もSLIMからの放出後に月面へ着陸し、2つに分割された外殻を展開して活動したことがわかっています。LEV-2の活動を雄弁に物語るのが、冒頭でも紹介したSLIMを撮影した画像(以下に再掲)です。SLIMから正常に放出されたLEV-2が月面で想定通り変形して活動したこと、SLIMの検出と画像の選定を行う画像処理アルゴリズムが正しく機能したこと、LEV-1との間で正常に通信が交わされLEV-1経由で画像が送信されたこと、こうした事実がこの1枚の画像から確認できるといいます。
こうした成果が確認されたことで、LEV-1とLEV-2は「日本初の月面探査ロボット」になったと同時に「世界初の完全自律ロボットの月面探査」「世界初の複数ロボットによる同時月面探査」を達成したとされています。加えてLEV-1は「世界初の跳躍による月面移動」、LEV-2は「世界最小・最軽量の月面探査ロボット」にもなりました。 小さなサイズで大きな記録を残したLEV-1とLEV-2ですが、太陽電池が搭載されているLEV-1の運用はまだ終わっていません。計画通りの活動期間を終えたLEV-1はバッテリーの電力を使い切ったか温度が上昇したために活動を停止して待機中の状態で、太陽電池に太陽光が当たるようになったり温度が下がったりすれば活動を再開する可能性があることから、引き続きLEV-1からの電波を受信する体制を維持する予定だということです。LEV-1とLEV-2の開発と運用で得られた技術は今後の宇宙探査や月面小型ローバーに活かされることが期待されています。 Source JAXA - 小型月着陸実証機(SLIM)の月面着陸の結果・成果等について JAXA - 小型月着陸実証機(SLIM)搭載マルチバンド分光カメラ(MBC)による撮影画像の公開について JAXA - 小型月着陸実証機(SLIM)搭載 超小型月面探査ローバ(LEV-1)月面着陸の結果・成果等について JAXA - 変形型月面ロボットによる小型月着陸実証機(SLIM)の撮影およびデータ送信に成功 JAXA - 小型月着陸実証機(SLIM)および小型プローブ(LEV)の月面着陸の結果・成果等 の記者会見