復活はいつ? 被災地の気象情報のカギ握る”高層気象観測” 気象予報士のぼやき
天気を解析、分析するうえで気象予報士が重宝しているデータがあります。全国16か所で行われている気象庁の「高層気象観測」です。 【写真を見る】復活はいつ? 被災地の気象情報のカギ握る”高層気象観測” 気象予報士のぼやき 気温や湿度、気圧などを観測する「ラジオゾンデ」と呼ばれる機械をゴム気球に取りつけ、朝と夜の2回観測所から飛ばします。 ラジオゾンデは上空に上がる際に観測データを地上に送信しますが。上空30キロほどのところでゴム気球は割れ、そのあとはラジオゾンデが落下します。ラジオゾンデは、海に落ちることが多いそうです。 高層気象観測をする場所には石川県の輪島も含まれていて、2022年2月25日の上空およそ5500メートルの様子を表した天気図には、輪島のところに記号や数字がついています。 羽の印がありますが、これは西の風35ノット=約18メートルを表しています。 -26.7というのはこの高さの気温です。 このようなデータが輪島にあるというのは、石川県の天気予報をする上では非常にありがたく、たとえば上空の気温の状況から大気の状態が安定か不安定かなどを判断しながら気象の分析に役立てています。 しかし、この翌日から輪島の観測データは消えてしまいました。 金沢地方気象台に尋ねたところ、データを観測する機械のトラブルが原因とのことです。トラブルが起きたのは北海道・釧路の観測所で、2022年2月に火災が起きました。輪島のほか、和歌山県の潮岬や島根県の松江の観測所も同じ機械を使っているため、点検のため観測を停止しました。 そんななか、輪島では追い打ちをかけるようなトラブルがありました。2023年1月13日に観測施設で火災が発生したのです。 無人のためけが人などはいませんでしたが、火災の原因は特定されていません。このこともあって輪島での高層気象観測はいまだに再開されていません。 困難な状況が続いている輪島の高層気象観測ですが、2年前から今までの間何度か復活しています。火事のあとの2023年1月23日から2月28日には、手作業でゴム気球を飛ばし観測を行っていました。北陸の冬は大雪や暴風など気象災害につながる現象が多く、データの必要性が普段以上に増すためです。