日常ばかり取り上げたのに、全国に読者が1万人もいた「特異な町」の情報紙/イノシシとのにらめっこや居酒屋の開店情報、新しいバス路線の開通
全54回の「大川原ライフ」を振り返ると、「特異な町」の普通の暮らしが見えてくる。2人に特に印象深かった記事を聞いた。 (1)〈右吉(うきち)ワールドへようこそ〉(第4号・2020年1月) まず喜浦さんが挙げたのは「創刊前から書きたかった」という、大川原に住む佐藤右吉(さとう・うきち)さん(85)を取り上げた記事。避難指示解除前から自宅に通って庭で菊を栽培し、訪れる人を楽しませていた。喜浦さんは「大熊でこんなに人生を楽しんでいる人がいることを伝えたかった」と話した。 (2)〈東電寮に行ってみた!〉(第13号・2020年10月) 続いて喜浦さんが推すのは、廃炉作業に当たる東京電力の職員寮を訪ねた記事だ。大川原地区は道一本を挟んで東電寮と町民の公営住宅が向かい合っていたものの、取材当時両者の交流は薄かった。そこに風穴をあけるため、若手社員の部屋を訪ねて暮らしぶりを聞いた。今では町民との交流も生まれているという。 (3)〈地酒の飲み比べしてみました〉(第21号・2021年6月)
佐藤さんが選んだのは町周辺で作られたお酒を編集担当者らと飲み比べて書いた1本。「今では町内の店ですぐ買えるけど、当時は店がなくて仲間と手分けして買い集めたのも楽しかった」と語る。ちなみに味は全部おいしかったそうだ。 バックナンバーは全て大熊町役場のHPで閲覧できる。アドレスはhttps://www.town.okuma.fukushima.jp/site/fukkou/15062.html