第156回直木賞受賞、恩田陸氏会見(全文)自分には縁のない賞だと思っていた
受賞作に富山県との関連はあるのか?
北日本新聞:富山県の北日本新聞のオウミといいます。受賞おめでとうございます。 恩田:ありがとうございます。 北日本新聞:恩田さんは、富山県を含めて、幼いころからさまざまな場所を転校していますが、これまで育っていってきた場所が、創作とか作品に与えた影響というのはどのようなものがありますでしょうか。また、特に富山県、かつてのエッセーの中で、富山での小学校時代にピアノのレッスンをしていたということもありますが、それは今回の作品ともし何か関連があれば、教えていただきたいと思います。 恩田:私、小説書くときに、割と特定の土地を舞台にして書くことが多いので、その土地、土地の雰囲気とか歴史とかを感じて、そこを舞台にして書くということが多かったので、子供のころにあちこち転校した場所のことは、今でもどこもすごくよく覚えてますし、その土地から影響を受けて書いたものというのは結構あると思います。 で、富山。私も子供のころずっとピアノを習ってたんですけども、転校が多かったのでいろんな先生に習ったので、それは今回、いろんな音楽の先生がいるっていうことで、子供のころに習った先生の特徴とかをちょっと使ったりもしたので、そういう意味でも転校していろんな先生に習ったっていうのは、今回の小説には使わせてもらってると思います。 北日本新聞:ありがとうございました。
小説の登場人物の中で、自身は誰に近いと思うのか?
読売新聞:どうも。読売新聞のウカイです。おめでとうございます。 恩田:ありがとうございます。 読売新聞:今度の小説は、いわゆる天才少年のようなタイプとか、努力家の方、一度苦難があっても再起を図るタイプ、いろいろありますけども、恩田さんはどのタイプに近いんでしょうか。 恩田:どのタイプですか。いや、どれとも違うと思います。天才じゃないし。 読売新聞:あと、今度の小説の中で少し触れてあると思うんですけども、今回のピアノコンクールについて書いていますけども、文学のこれ、直木賞はコンクールといえるかどうか別ですけど、文学賞とピアノのコンクールっていうのは、どこか似ているところ、違うところってどんなところでしょうか。 恩田:うん、いや、すごく、小説の中にも書いたんですけれども、やはりどちらの世界もすごく、いつも新人を探していて、新たに書ける人をいつも求めているっていうのは、やはりどちらも続けていくのはとても難しい商売だからだと思うんですけど、そういうところは音楽と小説と、似てるんじゃないかなとすごく思います。 読売新聞:あともう1つ最後に。本屋大賞を以前お取りになってて、おそらく本屋大賞を取られてから直木賞を取る作家は初めてなんだと思うんですけども。いわゆる、本屋大賞と直木賞、比較するのは難しいかもしれないんですけども、それぞれの、やっぱり今回、取ってみて直木賞っていうのはどんな賞で、本屋大賞っていうのも大きな賞だと思うんですけども、思いをそれぞれについて、あらためて。 恩田:最初にいただいたのが本屋大賞だったので、すごく印象に残っていますし、読者代表からいただいた賞だと思ったのでとてもうれしかったことを覚えていますが。直木賞は、やっぱりなんか、すごい賞だったなと、今、本当に実感しているんですけど。それが書く側のプロに選んでいただけるということで、やはり、それはそれで、私ももう長いことプロをやってますけれども、とても光栄なことだし、やっぱり選ぶ側もすごく大変なことなんだなっていうのを今となってはすごく思いました。 読売新聞:ありがとうございます。 司会:あと、1人、2人のご質問で最後。じゃあ、お願いします。