【注目選手】九州国際大付の野田海人＝福岡県宮若市で２０２２年２月５日、矢頭智剛撮影

　捕手、投手、中軸打者、主将をこなす「四刀流」だが、最も力を発揮するのはマスクをかぶった時だ。「キャノン」の呼び名が似合う強肩と「鉄壁」のブロッキングを併せ持つ。 　２０２１年秋の公式戦で捕手として、「キャノン」が放たれることはほとんどなかった。試合前のノックで土煙が舞いそうな低い二塁送球を見せ、相手チームの盗塁意欲をそいだからだ。 　捕逸はなく、投手に暴投が記録されたのも昨秋の明治神宮大会の一つだけ。１年秋から正捕手になったが、「先輩の投球を後ろにはそらせない」と至近距離からノックを浴びてブロック技術を磨いた。技巧派左腕のエース香西一希（２年）が低めに思い切って変化球を投げ込む際も、鉄壁のブロッキングは欠かせない。 　打撃でも昨秋の公式戦１４試合で２０打点と勝負強い。投手としても最速１４６キロの直球を持ち、エースに次ぐ存在として香西の負担を減らす。個性豊かな選手たちをまとめる主将でもある。元プロの楠城徹監督（７１）は「（野田は）計り知れない潜在能力を持っている」と感嘆する。 　甲子園になれば「野田捕手から盗塁してやる」という選手もいるだろう。「走ってもらいたい」。自慢の肩で盗塁を防げば、チームも波に乗る。【吉見裕都】＝つづく ……………………………………………………………………………………………………… 　■人物略歴 　◇野田海人（のだ・かいと）さん 　福岡県大牟田市出身。小学４年で野球を始め、中学は硬式の高田ファイターズ所属。楠城監督は「（野田は）野球大好きな野球小僧。（試合で飛ばしすぎるのを）抑えるのが大変」。右投げ右打ち。