「近畿は勝てない」ジンクス跳ね返した脇本雄太 帝王・山田裕仁氏が指摘する犬伏湧也の敗因とは/G1競輪祭回顧
犬伏とのマッチレースを制し、脇本が近畿勢59年ぶりのV!
もうこの時点で、優勝は脇本選手か犬伏選手のどちらか。犬伏選手が少し外に出して差しにいこうとしますが、脇本選手との差はまったく詰められません。そこから大きく離れて、松浦選手と浅井選手の3着争い。その後ろには、内から抜けてきた荒井選手や外を回った菅田選手がいますが、伸びてくる様子はなし。結局、寺崎選手の番手から捲った脇本選手が、他の選手を寄せ付けないまま先頭でゴールを駆け抜けました。 犬伏選手が2着で、離れた3着に松浦選手。4着に浅井選手、5着に荒井選手という結果で、菅田選手は何もできないまま6着に終わっています。最終ホーム過ぎに先頭に立った選手が、最速タイの10秒9で上がっているのですから、後続が差を詰められないのは当然ですよね。脇本選手は、2022年の西武園・オールスター競輪(GI)依頼となるビッグ優勝。これは近畿勢にとって、じつに59年ぶりとなる競輪祭優勝でもあります。
競輪祭のタイトル獲得によって、KEIRINグランプリ出場と来年のS級S班を決めた脇本選手。これで、グランドスラム達成にも一歩前進ですね。赤板過ぎの攻防で、寺崎選手が前に出切ってくれたのが大きかったとはいえ、番手捲りで先頭に立ってからのスピードは、やはり圧巻。持ち味である“速さ”をフルに生かせる小倉バンクという舞台で、近畿勢が勝てないジンクスも跳ね返す、本当に力強い走りをみせてくれました。
大胆に仕掛けられなかった犬伏、松浦は来年に期待
2着の犬伏選手は、仕掛けをもうワンテンポ早くするか遅くしていれば、また違った結果になっていたかもしれません。打鐘では寺崎選手に合わされ、最終ホームでも脇本選手に合わされていますからね。カマシ捲りでいちばん力を発揮できる選手なのに、そのカタチに持っていくことができなかった。犬伏選手自身がレース後にコメントしていたように、大胆に攻めきれなかった面があったと思います。 悔しい結果に終わったのが松浦選手で、これでS級S班からは陥落。とはいえ、決勝戦のゴール前でも浅井選手に抜かれていないように、デキは本当によかったですよ。厳しい時期をようやく乗り越え、特別競輪でトップクラスが相手でも戦えるだけの状態を取り戻した。ここから先は気持ちを切り替えて、改めて前進あるのみでしょう。多くのファンが、来年のS級S班復帰を心待ちにしていますからね。 存在感をまったく発揮できずに終わった菅田選手については、このレースで好走する上での必要条件だった「中団でうまく立ち回る」ことを、もっと徹底すべきだったでしょうね。機動力で勝る犬伏選手や寺崎選手が相手のここでは、なにがなんでも中団を取り続けるくらいの意識でいなければ太刀打ちできない。その意識が足りず、後手に回ってしまった今回の結果を反省して、次に生かしてほしいものです。