「近畿は勝てない」ジンクス跳ね返した脇本雄太 帝王・山田裕仁氏が指摘する犬伏湧也の敗因とは/G1競輪祭回顧
決勝戦、グランプリへの最後の切符を手にするのは
かくして決まった、決勝戦のメンバー。2名が勝ち上がった中四国勢の後ろには荒井崇博選手(82期=長崎・46歳)がついて、西の混成ラインを形成します。先頭を任されたのは犬伏湧也選手で、番手を回るのは完全優勝に王手をかける松浦選手です。近畿勢は、寺崎浩平選手(117期=福井・30歳)が先頭で、番手が脇本選手。3番手を村上博幸選手(86期=京都・45歳)が固めるという布陣となりました。 菅田壱道選手(91期=宮城・38歳)の後ろには松谷秀幸選手(96期=神奈川・42歳)がついて、初連係の即席コンビで勝負。浅井康太選手(90期=三重・40歳)は唯一、単騎での勝負を選択しました。寺崎選手と犬伏選手による熾烈な主導権争いとなりそうで、実質は二分戦のようなもの。そして、主導権を奪ったラインの番手に展開が向くというのも、レース前から読めるメンバー構成です。
西の混成ラインが前受け、近畿は最後方から
それでは、決勝戦のレース回顧といきましょうか。レース開始を告げる号砲が鳴って、いい飛び出しをみせたのは3番車の荒井選手と8番車の菅田選手。ここは中団が欲しい菅田選手がバックを踏んで、荒井選手がスタートを取ります。これで、西の混成ラインが前受けに。菅田選手はその直後4番手につけて、単騎の浅井選手が6番手。そして近畿勢が7番手からの後ろ攻めというのが、初手の並びです。 レースが動き出したのは、青板(残り3周)周回の2コーナーから。後方の近畿勢が位置を上げていって、先頭の犬伏選手を外から抑えるカタチで併走。先頭誘導員が残る状況での「出方の探り合い」となりますが、2センターで後方の浅井選手が空いてる内をすくって、荒井選手の後ろまで位置を上げます。そして赤板(残り2周)掲示の手前から、少し下げていた寺崎選手が、前を斬りに動きます。
寺崎が主導権、犬伏も反撃開始
犬伏選手も突っ張りますが、寺崎選手が内に切り込みながら犬伏選手の前に出て、赤板を通過。近畿3車が前に出切って1センターを回り、犬伏選手は4番手でバックストレッチに入りました。犬伏選手は打鐘前から前に踏み込み近畿勢との差を詰めますが、先頭の寺崎選手もスピードを上げて応戦。ここでレースは打鐘を迎え、一列棒状で2センターを回って、最終ホームに帰ってきます。 犬伏選手は、ここから反撃開始。一気の加速で先頭の寺崎選手に迫りますが、脇本選手の外に並びかけたところで、すかさず脇本選手が番手から発進して、早々と先頭に立ちました。しかし、最終1センターを回ったところで、村上選手が脇本選手の加速についていけず、前と口があいてしまいました。同じく松浦選手も、脇本選手に食らいつこうと加速する犬伏選手に、車間をあけずについていけません。 その結果、脇本選手の番手に犬伏選手がハマり、少し離れて村上選手と松浦選手が並ぶという隊列に。必死にリカバリーしようとする松浦選手と村上選手の後ろに、単騎の浅井選手が外から忍び寄っています。荒井選手が村上選手の後ろ、浅井選手が松浦選手の後ろという隊列に変わり、展開についていけず置かれた菅田選手と松谷選手は、最終バックでも後方のままです。 松浦選手や村上選手は前との差を詰めようと必死に追いすがりますが、抜け出している脇本選手と犬伏選手との差がなかなか詰まらない。最終2センターでは、外の松浦選手が村上選手の前に出て、単独3番手に浮上します。その後ろには浅井選手と菅田選手が続きますが、前との差は絶望的なほど。松浦選手も前との差をなかなか詰められないままで、最後の直線に入りました。