「宇都宮パルコ」跡、ゼビオが本社移転へ…中心市街地の活性化に期待も
2019年に閉店した宇都宮市中心部のファッションビル「宇都宮パルコ」跡の空きビルに、スポーツ用品販売大手のゼビオ(福島県郡山市)が本社を移転する方向で調整していることが20日、複数の関係者への取材でわかった。年内の合意を目指している。市中心部の一等地で5年間空き状態だったビルの後継テナントが決まれば、中心市街地の活性化に向け、大きな一歩となる。
宇都宮パルコは1997年、中心市街地の再開発事業の一環として、同市馬場通りにオープン。開業以来、若者向けのファッションを主に扱って人気を集め、JR宇都宮駅西側地区のにぎわい創出を担っていた。
しかし、次第に顧客ニーズが郊外の大規模商業施設やネット通販に移行。中心市街地では上野百貨店や西武百貨店宇都宮店など大型ショッピング施設の閉鎖・撤退が相次ぎ、パルコも空きテナントが目立って撤退した。顧客から惜しむ声が聞こえ、地元経済界からも市中心部の空洞化を懸念する声が上がった。
その後、後継テナント誘致を目指したが、「窓が少ないファッションビル」という特殊な構造などがネックとなり難航していた。
一方、ゼビオは2011年の東日本大震災で本社が被災した際、宇都宮市に、営業拠点を一時的に移した経緯がある。14年にはJR宇都宮駅西側の日清製粉工場跡地も取得していた。このほか、市内のスポーツイベントに参画するなど様々な分野で市と協力関係を構築している。昨年3月には市側から本社の誘致を受けて移転方針を表明したが、移転先や時期は決まっていなかった。
西側の活性化に向け、市はパルコ跡の面する大通りに30年を目標にLRTを延伸させ、沿線の開発も行う方針を示している。今月17日の市長選で6選を果たした佐藤栄一市長も、選挙戦の公約でパルコ跡の活用を掲げており、発表記者会見では「年度中ぐらいには何とかまとまるように、行政もフル回転で支援するという約束をして、いろんなサポートをしている」と述べていた。
◆ゼビオ=大型スポーツ用品店を展開するゼビオホールディングス(HD)の中核子会社。HDの主要事業を担い、全国で「スーパースポーツゼビオ」などを展開している。県内には宇都宮市や小山市、足利市に5店舗ある。