シーズン中は「16勝8敗」でDeNAを圧倒していたのに…「巨人」まさかのCS敗退にレジェンドOBがクビを傾げる“巨人打線の根本的な問題”
疲れていたDeNA打線
ソフトバンクと比べると巨人は貧打ということになるのかもしれないが、それではセ・リーグのチーム全てが貧打になってしまう。 巨人は貧打と言うより、得点力に劣る打線と見たほうがよさそうだ。そして、その「点が取れない」という最大の欠点がCSで極端な形で現れてしまったのだろう。 巨人OBで野球評論家の広澤克実氏は「確かに私も巨人の打線が敗因だとは思います。ただ、その根本的な理由や解決策となると見当が付きません」と首をかしげる。 「今回のファイナルステージは巨人だけでなくDeNAも点が入らず、ロースコアの試合となりました。ただし、これを“緊迫した投手戦”と評価するのは違っているのではないかと思います。なぜならDeNAのバッターは、かなり疲れていました。CSファーストステージで阪神と激戦を繰り広げてきたので、それなりの疲労を背負って東京ドームに乗りこんできたのです。そのため巨人にはリーグ優勝チームに与えられる1勝だけでなく、DeNA打線の低調というアドバンテージも得ていました。ところがそれを全く活かせず、敗北してしまったのです」 広澤氏は試合を見ながら、常に「巨人のバッターは誰もがバットを振れていない。ヘッドのスピードが出ていない」と感じていたという。
巨人打線の根源的な問題
「吉川尚輝選手の骨折離脱や、エリエ・ヘルナンデス選手が骨折のリハビリで本調子でなかったことは挙げられますが、巨人のバッターがバットを振り切れていなかったのが最大の敗因だと思います。しかし、なぜ巨人のバッターはバットを振り切れなかったのか、という問題になると、その原因が全く分からないのです。レギュラーシーズンとCSの間で調整に失敗したとの指摘は出てくるかもしれませんが、それだけでは片付けられない気がして仕方ありません」(同・広澤氏) CSのプレッシャーで萎縮していたわけではないという。緊張で体が動かない状態なのではなく、単にバットをフルスイングできていないのだ。 「率直に言って、既視感がある気もするのです。もしそうなら、巨人打線が抱えている根源的な問題だと言えるのかもしれません。巨人と同じようにDeNAに敗れてしまったとはいえ、ファーストステージの阪神打線はバットを振り切れていました。結局のところ、勝負は時の運です。巨人打線がバットをフルスイングしてDeNAに負ければ、来季にも期待が持てます。しかしレギュラーシーズンでは問題のなかった巨人打線が、急にCSになってスイングスピードが遅くなったことは気にかかります。来季のことを考えると、原因究明が求められているのではないでしょうか」(同・広澤氏)
問題はFAで解決?
一部のスポーツメディアは巨人が打線を立て直すため、フリーエージェント権を得る阪神の主砲、大山悠輔の獲得に乗り出すと報じている。もし大山を獲得できたら、広澤氏の指摘する「CSでフルスイングができなかった巨人打線」の問題は無事に解決するのだろうか──? 註:巨人 リーグVで日本シリーズ逃すのはプロ野球最多の3度目 安打と得点は史上最少タイ…貧打に泣いた(スポニチアネックス:10月21日) デイリー新潮編集部
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