震災以降、移住先として急浮上した岡山県とは?(上)
データが示す移住者数は落ち着いてきたとはいえ、依然として岡山への移住希望者からの相談件数は多い。岡山県や岡山市など、行政が主催する東京・大阪での移住説明会には毎回50組から100組ほどの来場があり、多いときでは200組近い相談者を迎えるほどの盛況ぶりだ。しかも、大々的な告知をせずとも、ある程度の来場者がコンスタントに見込めるうえ、ネットなどで情報収集をしてから来場するなど、本気で移住を考えているケースが多いそうだ。最近では来場者の相談内容が、住まいや就職など、より具体的なものになってきているというのも興味深い。 これほどまでの岡山人気、その背景には何があるのか。行政の窓口として移住に関する相談を受け付けている岡山市役所の移住・定住推進室の佐川亮太さんによると、「岡山市に限って言えば、東京都を中心とした首都圏から自主避難の意味合いで移住してくる人が多い」という。前述の説明会で実施したアンケートでは「岡山市を移住先として検討している理由」として、「災害が少ない」ことが28.7%と最も多く、次に「温暖な気候」が26.6%、続いて「交通網や医療の充実」、「生活の利便性」などが挙げられた。また「少数派の意見として」と前置きした上で、県南地方は原子力発電所から遠いこともメリットとする声もあるそうだ。確かに、隣接する各県に原発がなく、最も近い島根原発も中国山地のガードのおかげで比較的影響が少ないという説もある。子育て世代にとっての「放射能の影響」は、重要な検討事項の一つのようだ。次回は、民間の支援団体の活動や移住者への取材を通じ、岡山移住の実態にせまってみたい。