「全然ハッピーじゃない…」平成『仮面ライダー』重すぎてファンが涙目「伝説のクリスマス回」
■愛されキャラの壮絶な最期『仮面ライダーカブト』「さらば剣!!」
次は、水嶋ヒロさんが主演を務めた『仮面ライダーカブト』の、2006年12月24日放送回「さらば剣!!」だ。ちょうどクリスマスイブに放送されたこの回では、“仮面ライダーサソード”こと神代剣の壮絶すぎる最期が描かれている。 姉を殺した怪人・ワームを激しく憎む剣は、“すべてのワームは俺が倒す”と誓う男だ。だが、剣の正体は彼が憎むスコルピオワーム本人である。殺した相手に擬態する力を持つスコルピオワームは、神代姉弟を殺して擬態する過程で記憶を失い、「自分は本物の神代剣だ」という偽りの自意識を持ってしまった。剣は、本当の仇は自分自身だと気づかぬまま生きていたのだ。 「さらば剣!!」で、剣は自分の皮肉すぎる真実にとうとう気づいてしまう。彼は葛藤の末、あえて人類に仇なすスコルピオワームとしてワームのリーダーとなり、仮面ライダーカブトの天道総司と戦う道を選んだ。 扇動したワームたちが人間たちの手で駆除されるなか、カブトの一撃によって致命傷を負うスコルピオワーム。 「すべてのワームは俺が倒す」あえて倒されることでその誓いをやり抜いた彼は、“神代剣”が生まれ育った屋敷に戻り、眠るように息を引き取るのであった。 以上が、2006年のクリスマスイブに放送された「さらば剣!!」のあらすじである。 剣は貴族として生まれ育ったお坊ちゃまであり、高飛車な態度と天然すぎる素直さのギャップで視聴者から愛されたキャラだ。そんな彼が悲壮な決意とともに死を選び、見事にやり遂げた生きざまに、クリスマスイブの朝から泣いたファンは数知れない。
■前半のクリスマスムードはなんだったのか『仮面ライダーエグゼイド』「狙われた白銀のXmas!」
2016年から2017年にかけて放送された『仮面ライダーエグゼイド』は、医療とテレビゲームの取り合わせで話題になった異色の平成ライダー作品だ。2016年12月25日に放送された「狙われた白銀のXmas!」は、前後編で話の雰囲気が大きく違うところが特徴的だった。 前半ではクリスマスらしく、仮面ライダーエグゼイドたちが特別なサンタフォームに変身。「ジングルベル」の歌を流しながら怪人・バグスターを倒す戦闘シーンはとても陽気で、クリスマスのお祝いにぴったりな短編に仕上がっていた。 だが、そんな楽しいクリスマスのムードは後半に一変する。人々を襲うバグスターの真相を探る仮面ライダーレーザー・九条貴利矢は、調査の末に仮面ライダーゲンム・檀黎斗が黒幕であること、そして主人公・宝生永夢に関する重大な秘密を掴む。 すべての謎を明らかにするため、永夢を呼び出す貴利矢。しかし、一足先に現れた仮面ライダーゲンムの新たな力である“デンジャラスゾンビ”の手にかかり、致命傷を負わされてしまうのだ。 永夢たちが現れた頃には時すでに遅し。貴利矢は最期の力を振り絞り、永夢にこう告げる。「お前の運命は、永夢、お前が変えろ」と。そして貴利矢は力尽き、その体は跡形もなく消滅するのであった……。 愉快な雰囲気の前半から、メインキャラが死亡する後半への急転直下が強烈なエピソードである。貴利矢は飄々とした態度と内に秘めたハートの熱さで人気が高く、そんな彼が12話という序盤で退場するインパクトも非常に強い。 ファンの間で「平成ライダーのクリスマス回は怖い」というイメージを決定づけたともいわれる、いわくつきのエピソードである。 平成『仮面ライダー』シリーズの衝撃的なクリスマス回を見てきた。街中がお祭りムードに包まれるクリスマスの時期に、いつも見ている『仮面ライダー』ではなぜか重くつらい話が放送される。そのギャップは、リアルタイムで目撃した視聴者の心に深く刻まれていることだろう。 はたして今後もクリスマスのジンクスは続いていくのか……ファンとして楽しみに視聴していきたいと思う。
ハチミツ