「全然ハッピーじゃない…」平成『仮面ライダー』重すぎてファンが涙目「伝説のクリスマス回」
令和になってなお根強い人気を誇る特撮番組『仮面ライダー』シリーズでは、ファンの間でこんな言葉が囁かれることがある。「クリスマスの平成ライダーは怖い」と。 ■【画像】「シュールすぎ…」怪人もサンタ仕様!?『仮面ライダー』曰くつきのクリスマス回■ どういう意味かというと、平成ライダー作品で12月25日近辺に放送される回はキャラの誰かが死ぬか、ひどい目に遭うジンクスがあるのだ。そして、これはただのジンクスではなく、一部の作品で本当にあった事実だ。 今回は、めでたい“ハレの日”を凍りつかせるほどハードだった、平成仮面ライダーの「クリスマス回」を振り返っていこう。
■「英雄」とは何かを考えさせられた『仮面ライダー龍騎』「タイガは英雄」
まずは、13人の仮面ライダーが過酷なバトルロイヤルを繰り広げる『仮面ライダー龍騎』から、2002年12月22日放送回「タイガは英雄」を見てみよう。 本エピソードでは、13人のひとり・仮面ライダータイガこと東條悟の哀しい退場劇が描かれている。 東條は“英雄になりたい”という行動原理から、ライダー同士の戦いを止めようとする青年だ。しかし、とある事情から倫理観に欠けている彼は、“英雄になるため”と理由があれば、恩師をも手にかける恐ろしい一面を持っている。 「タイガは英雄」では、そんな東條がライダーとの戦いを経て、そもそも自分がなろうとしている英雄とは何かに迷い始めるのだ。 話の冒頭で東條は、仮面ライダーゾルダの北岡秀一からこんな言葉を投げかけられる。「英雄ってのはさ、なろうと思った瞬間に失格なのよ」と。この言葉に東條は強く心を乱されるのだ。 彼が英雄になろうとする根幹は、大勢から好かれたいといういびつな承認欲求によるものだ。愛されるために人を殺してでも英雄を目指したのに、「なろう」とした時点で失格なら、自分はどうすればいいのか……? 答えの出ない自問自答をくり返す東條は、トラックにひかれそうになっている見知らぬ親子をとっさにかばい、代わりにひかれてしまう。 “どうやって英雄になればいいのか”と、ぼんやり考えながら、静かに息を引き取る東條。翌日、新聞の片隅に「親子を救った英雄」という小さな見出しが載るとも知らないまま……。 他人の命を奪ってきた東條が、見知らぬ命を救って英雄になった皮肉さが心に響く。英雄とは、ひいては仮面ライダーに代表される「ヒーロー」とは何かを考えさせる、とても重い名エピソードだ。