海上コンテナを鉄路で輸送 JR貨物、金沢―大阪で実証実験
●「2024年問題」トラック輸送距離短縮 金沢―大阪間で海上コンテナを鉄道輸送するJR貨物の実証実験が16日、始まった。北陸の工場で製造した機械や部品を積み替えなしで関西の港から輸出するルートの定着が目的で、トラックでの輸送距離を短くできることから、同社は物流の「2024年問題」を解決する策の一つとして提案する。自動車と比べて二酸化炭素(CO2)排出量が少ないなどの利点をアピールし、需要を掘り起こす方針だ。 実証実験で取り扱うのは国際規格である全長40フィート(約12メートル)の海上コンテナで、一般的な鉄道用コンテナと比べて約3倍の長さとなる。貨車1両を海上コンテナ輸送用とし、金沢―大阪両貨物ターミナル駅間を毎日1往復する。 16日に運んだ海上コンテナの荷主はコマツ物流(東京)で、コマツ粟津工場(小松市)で製造した大型ダンプ用のトランスミッション部品を神戸港からインドの生産拠点に向けて輸出する。今後も週1回程度の輸送を予定する。 JR貨物金沢支店によると、北陸の工場から輸出品を運ぶケースでは、関西の国際港までトレーラーで陸送するのが一般的。しかし、運転手などの時間外労働の上限規制が強化された24年問題で長距離トラックのドライバー不足が懸念されることから、規模の大きい輸送を鉄道や船舶に切り替える「モーダルシフト」を検討する動きが全国的に広がっているという。 鉄道輸送はトラックと比較すると移送距離が短いほど費用が割高になる一方、CO2排出量は約10分の1で済み、環境面で優れていることがモーダルシフトを後押ししている。 こうした動きを受け、JR貨物は9月、40フィートコンテナを積み込む大型の重機「トップリフター」1台を金沢に導入。積み卸し作業の妨げとならないよう、貨車が入線するホームの架線を一部撤去し、受け入れ態勢を整えていた。 実証実験は来年2月末までの予定。担当者は他にも交渉を進めている会社があるとし「物流の選択肢を増やすためにも鉄道輸送のメリットをアピールし、利用拡大につなげたい」と話した。