社長就任直後に直面した、危機的状況の打開策とは|アルページュ代表取締役 野口麻衣子さん|STORY
――コロナ禍という困難な局面に対して、社長と共に歩んできたスタッフたちは、どんな反応でしたか?
年始に、その年1年の経営に関する念頭方針をスタッフに向けて発表する機会があるのですが、その時に「社長が壇上に立って、笑顔で話してくれたのがよかった」という感想が沢山届いていたんです。やっぱりコロナのように大きな外的変化があると、みんなすごく不安なんですよね。私自身も不安ではあったけれど、それでも「前に向かっているよ」というメッセージを態度や言葉で示していくことは必要なんだと実感しました。私がぶれずに通常通りの自分でいることで、スタッフも安心してくれる。特に店舗スタッフはお店に立てないと余計に不安になってしまうので、「会社に来てインスタライブをしよう」と声掛けしていました。 私はいつも、何かを考える時に「AとBの共通項は?」「AとBの相違点は?」「AとB、それぞれの行動の因果関係って?」という3本柱を軸にしていて。何かが違っているから、異なる結果になるんです。そこを整理して追求すると答えが見えてくることも。事象を因数分解して、1つずつ解決していくのが大事だと思っています。それと同時に、困難なことが起きたらまず動くことも大切。解決できているのかその瞬間にはわからなくても、立ち止まらずに動いて、その結果が昨日より今日、今日より明日と改善されるのを体感する。それをスタッフと一緒に分かち合えると、また何かが変化して小さな光が見えてきます。 それって実は、会社が一番ひどかった入社当時の状況と同じで。だからコロナが流行した時は、目の前に難しい応用問題を出されたような感じでした。「今回も解いてみろ!」って試されているような気分(笑)。次々に起こる問題を1つずつ乗り越えていた頃と同じだったからこそ、その経験をコロナ禍で活かせることができて、社員にも還元できて..苦労が報われた気がしましたね。
――コロナが終わった今、アパレル業界はどんな風に変化しましたか?
ようやくアパレル業界にもコロナ前の日常が戻ってきましたよね。アルページュも、ブランドを1つも畳むことなく3年間乗り切ることができました。実際に最近の展示会での反応やお客様の購買を見ていると、やっぱり人に会う時のファッションは重要で、みんな気にかけているんだなと再認識。 去年のクリスマスは、コロナ前よりも売れ行きが良かったんじゃないかと思うくらいでした。イベントなど人に会う機会では、以前に比べて一層気合いが入っているんじゃないかと。それまでは惰性でなんとなく人に会っていたのが、ここぞ!というタイミングで、自分がどう見られたいのかを意識するようになったのだと思います。イベントが日常の延長線上にあったコロナ前と違って、特別なものになった。だからこそ洋服への熱の戻り方も、以前と全く一緒ではないというのが意外でしたね。