病院で1時間待って診察時間は3分…「何をどう尋ねたらいいか分からない」を防ぐ解決策。家に帰った後で「あれも聞けばよかった」と後悔しないために
人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。 * * * * * * * ◆病院での診察 大きな病院では、「1時間待って、診察時間は3分」といわれるほど、待たされたあげく、あまり話を聞いてもらえないという状況があります。 限られた時間の中で、医師の診断を受け、病状の説明があり、薬についての注意を聞く……。その流れをとめて、自分から積極的に質問などできないという人は少なくありません。仮に質問しようと思っても、 「医療の知識がないから、何をどう尋ねたらいいかわからない」 「あまりしつこく質問すると、医者から嫌われてしまうかもしれない」 というケースも多いでしょう。 しかし、自分の健康を守るのは自分自身。ドクターはその手助けをしているにすぎません。つまり、受け身で医療を受けているだけでは不十分で、自分の病気は自分の責任で管理する必要があります。 そのためには「メモをとる」のが基本です。きちんとした文章にする必要はなく、たとえば「頭が痛い」なら、「いつ頃から痛みが始まったのか、頭のどのあたりが痛むのか、どのような痛みか」などを、メモの鉄則である5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)にのっとって書き記しておけばいいのです。 ドクターには、そのメモを見ながら説明します。病状をきちんと説明するのは、ドクターとの大切なコミュニケーションと考えてください。
◆ドクターに伝えたら、終わりではない 診察を受けて家に帰ってから、「あれも聞けばよかった。これも聞いておくべきだった」と思ったことがあれば、それもすぐにメモします。シニアは、若い頃にくらべて記憶力が落ちるのは当然ですから、「気がついたことはすぐにメモ」が必須です。 とくに、診断されて「しばらく様子をみましょう」と言われたり、薬を処方されて「4週間後に、もう一度いらしてください」となった場合、その間の体の状態や疑問に思ったことなどをまとめておくことは大切です。 ドクターに伝えたら、それで終わりではありません。ドクターの答えもメモします。どんなに記憶力のいい人でも、ドクターの返事を完璧に覚えておけるものではありません。医学用語が出てきたら、あとで調べるためにも、その場でメモをとりましょう。
保坂隆