佐藤輝よ、関西のスターにとどまるな 来季は甲子園の浜風を克服して日本の大砲になれ! 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
日本の大砲か、それともナニワの主砲か-。阪神の佐藤輝明内野手(25)にとって、来季は打者としての将来を決めるシーズンになる気がします。今季の成績は120試合に出場して打率2割6分8厘、16本塁打、70打点。プロ4年目で初めて本塁打数が20本を下回り、打点も昨季の92から70に。チームもV逸のため、虎党の印象はネガティブになっている気がしませんか。あまりにも大きな期待の裏返しといえる現象ですが、来季こそ爆発的な打撃を見せて「関西の」から「日本の」サトテルになってもらいたい。その時、チームもV奪回…のはずです。 【スリーショット】巨人・岡本和真、ヤクルト・村上宗隆、阪神・佐藤輝明。いずれもセ・リーグを代表する長距離砲だ ■左打者は圧倒的不利 本塁打は33と27に対して16。打点は86と83に対して70。四球は105と66に対して36。この対比、何だか分かりますか? 今季のセ・リーグの中心打者3人の成績比較です。ヤクルト・村上宗隆(24)と巨人・岡本和真(28)、阪神・佐藤輝の数字を順に並べてみましたが、どれもこれも佐藤輝は村上&岡本和に比べて見劣りします。 「そりゃあ、本拠地の問題が大きいだろう。ヤクルトの神宮、巨人の東京ドームは本塁打が出やすい球場。それに比べると佐藤輝は甲子園球場だぞ。しかも左打者の佐藤輝には甲子園の浜風という逆風がある。右方向にはなかなかホームランは打てない。だから村上と岡本和と成績を比較するのは、そもそもかわいそうだろう」 3人の成績比較を雑談の中で話すと、ある阪神OBは思わず唇をとがらせました。確かにそうです。右中間、左中間の膨らみが大きく、右翼方向から左翼方向や本塁方向へ強い浜風が吹く甲子園球場を本拠地とする阪神で、左の強打者は圧倒的に不利です。 ■甲子園でわずか4発 1992年シーズンからラッキーゾーンが撤去されて以降、阪神の左打者が甲子園球場で放ったシーズン最多本塁打は金本知憲の15本(2004、05年)です。過去にはランディ・バースが25本(1986年)を記録したこともありますが、当時はまだラッキーゾーンがありました。 佐藤輝が今季、甲子園球場で放った本塁打数は4本。これはプロ4年でワーストです。昨季は13本を放っていて、阪神入団後の推移は8→5→13→4です。70試合近く甲子園で打席に立つ佐藤輝にとっては、本拠地でいかに本塁打数を増やすかが大きな課題であることは明白です。この問題を解決しないと、村上や岡本和らとの本塁打争い、打点争いに勝つことは難しいはずです。