野球王国・愛知の“頑張る公立校”が面白い! 私学隆盛の中での奮闘、「新基準バットは追い風だ」と甲子園へ虎視眈々
私学圧倒的優位の中で…
愛知県の高校野球は歴史的に、私学4強と呼ばれている中京大中京、東邦、享栄、愛工大名電などの名古屋市勢が圧倒的に強い。さらには「昭和」の一時代には、そこに1枚加わっていた愛知や、近年では至学館、愛知産大工に、名古屋地区勢として中部大春日丘や中部大一、栄徳、星城などの私学勢が圧倒的だ。 【動画】24年のドラフト候補紹介 他地区でも、甲子園出場を果たしている誉や愛知啓成、愛知黎明の尾張勢に、愛知産大三河、豊田大谷の西三河勢がいる。さらに東三河勢では昨秋の東海大会を制した豊川を筆頭に桜丘、豊橋中央らの私学が毎年上位で競い合っている。 しかし、愛知県の高校野球は、それらの私学勢に対抗しようと、熱心な指導者がいる公立勢の頑張りが支えてきたという背景もある。そして、公立勢が頑張ることで、さらに愛知県の高校野球が盛り上がっていくとも言われている。それは成章、岡崎工、国府、刈谷などが甲子園出場を果たした1970年代には顕著に現れた。 さらには90年代にも、大府が3年連続センバツ出場を果たし、98年には豊田西が頑張りセンバツ出場を果たして甲子園でも2勝している。2000年以降では21世紀枠で08年に成章、15年に豊橋工が出場している。 他にも大府、刈谷なども健闘し、それを追って西尾東も甲子園に手が届きそうになった。そうした実績のある学校を追いかけて、公立各校は健闘している。
ミラクル小牧南の快進撃
公立校が1校でも突出して上位進出を果たすと、他校も「あそこが、頑張っているのならば、ウチも負けていられない」という気持ちになるのか、競うように他の公立校も健闘していく。こうした切磋琢磨が、確実に県全体の高校野球のレベルを底上げしているといっていいであろう。 昨年秋も、尾張地区の小牧南が県大会で杜若、誉などを下してベスト4に進出。ミラクルな力を示した。小牧南は、東海地区の推薦校には漏れたが、21世紀枠代表候補の県推薦校となった。 吉田将人監督は、「こうして結果を残していくことは、やはり1つの自信にはなると思います。それに、OBの人たちが喜んでくれて、それがまた応援していって貰えるということに繋がっていくと思います」と喜んでいる。吉田監督自身は中部大春日丘の出身だが、公立校での指導に熱い思いで挑んでいる。 小牧南は、ある程度の進学実績も維持している中堅の普通科公立校である。それでも、なんらかの拍子で結果を残すことで、力以上のものを発揮していくというのも、こうした公立校の特徴でもある。たまたま1年生に能力のある選手もいるということだが、そのことで上級生たちが刺激を受けて、「自分たちも負けられない」という意識になっていることも確かであろう。