Adrian Orr Photographer: Mark Coote/Bloomberg

（ブルームバーグ）：  ニュージーランド（ＮＺ）ではインフレ率が目標の２％を割り込むリスクが高まっており、ＮＺ準備銀行（中央銀行）は年内に予定される２回の政策決定会合でそれぞれ0.5ポイントの利下げを実施するとエコノミストは予想している。

ＮＺ中銀は８月、政策金利のオフィシャルキャッシュレート（ＯＣＲ）を5.25％と、0.25ポイント引き下げて緩和サイクルを開始した。中銀は利下げのペースを加速し、10月９日に4.75％、11月27日に4.25％にＯＣＲを引き下げると、国内大手銀行５行のエコノミスト全員が予測している。

バンク・オブ・ニュージーランド（ＢＮＺ）調査責任者、スティーブン・トプリス氏（ウェリントン在勤）は「インフレ抑制はＮＺ中銀の目標だが、この目標は達成されたことをデータの大部分が現時点で示している」と述べた。「さらに、年間インフレ率が近く、中銀目標レンジ中間値である２％を下回る可能性を示す証拠が増えている」との見方を示した。

コロナ禍に景気を刺激し過ぎたＮＺ中銀だが、今度は過剰に引き締めた恐れがある。４－６月（第２四半期）の国内総生産（ＧＤＰ）が減少したほか、失業率は上昇傾向にあり、高金利による需要圧迫で住宅は値下がりしている。

オークランドにあるキウイバンクのチーフエコノミスト、ジャロッド・カー氏は「あまりにも景気抑制的な金融政策が大きな痛みを及ぼすとともに、猛威を振るっていたインフレを沈静化させた」とした上で、「家計や企業は苦慮しており、今は金利の引き下げが必要だ」と論じた。

今週発表された企業景況感調査などを受け、大幅な利下げを求める声がエコノミストの間で高まった。調査では値上げを予定する企業の急減が示された。

ブルームバーグが調査したエコノミスト17人のうち13人が、来週の会合で0.5ポイント、４人が0.25ポイントのそれぞれ利下げを予想。スワップ市場では、0.5ポイントの利下げ確率が75％織り込まれている。