お手伝いはさせたほうがいい?おこづかいは渡す?「お手伝い」のギモンを教育評論家が解説
お手伝いを嫌がる子には?
保護者のかたから「お手伝いを頼んでも嫌がる」「気まぐれにやってくれることもあるけれど長続きしない」といったご相談を受けることがあります。 その時私は、意外に思われるかもしれませんが「あきらめること」をおすすめしています。 なぜなら、自立心・自己管理力が十分に発達していない段階のお子さまは、お手伝いを面倒がる傾向が強いからです。無理にやらせても、お子さまの自信がそがれ、保護者のかたも苦しむことになるのではないでしょうか。 自立心や自己管理力の発達は、個人差が大きいもの。まだお手伝いに対して意欲的でないお子さまも、時間が経てば保護者のかたを助けてくれるようになるはずです。
お手伝いにおこづかい・報酬はアリ?
「お手伝いをしてもらった時におこづかいをあげるかどうか」に関して悩む保護者のかたは少なくありません。 私自身は、「おこづかいはあげないほうがよい」と考えています。 家族は愛情でつながった集団であり、家事はそれぞれのメンバーがほかの家族のために行うものです。 しかしお子さまがしてくれたお手伝いにおこづかいをあげるとなると、家の仕事に対して値段を付けることになります。 「お手伝いが終わったら一緒におやつを食べようね」といったアプローチならよいですが、お金をあげるのはおすすめできません。
ただし、「欲しいモノがあるが、高くて毎月のおこづかいでは買えない」といった場合は、期間と目標金額を限定した《家庭内アルバイト》を提案してもよいでしょう。 書類を仕分ける、仕事道具を整理してもらうなどふだんは家族のほかのメンバーが担当している家事や仕事の一部などプラスアルファの内容をお子さまに任せ、報酬をあげるのです。 こうした家庭内アルバイトでお金をもらう経験は、社会に出てからの仕事について考える貴重な機会になると思います。
まとめ & 実践 TIPS
お手伝いをしてもらうことは、お子さまにとってたくさんのメリットがあるようです。 必ずしもたくさんの習い事をさせなくても、お手伝いの経験を通じて、お子さまの中では自立心や貢献意識、スキルなどがゆっくり育っていくはず。 お子さまが「手際が悪い自分をゆったり見守ってくれた」という経験を持つことで、家族間の信頼関係が強くなったり、自己肯定感が高まるという効果もあるでしょう。家族間のコミュニケーションを増やす機会の一つと考えて、お手伝いを頼んでみてはいかがでしょうか。 ※2024年2月に行った「保護者のかた向けアンケート」(1217人回答、うち小学生の保護者839人)に寄せられた体験談をもとに作成。
プロフィール 親野智可等 おやのちから 教育評論家 ・『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社) ・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社) 長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。 Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メルマガなどで発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。最新刊『子育て365日』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索