「べにはるか」首位に ねっとり系が堅調 サツマイモ作付け
ほくほく系に新顔も
サツマイモ「べにはるか」の作付面積が、青果用と醸造・でんぷん用を含めた全品種の中で最多となったことが、農水省の調査で分かった。2022年産は前年比5%増の7055ヘクタールで、長らく首位だった「コガネセンガン」(6613ヘクタール)を抜いた。ねっとり系の「べにはるか」が食味で評価され伸びる中、減少続きだったほくほく系では、期待の新顔も登場している。 同省は9月、サツマイモの品種別作付状況を更新。22年産は「べにはるか」が全体の22%を占めて最多。秀品率が良く多収という生産面での強みに加え、実需面でもねっとり系の食感と強い甘味が支持されている。面積の半分を茨城県が占め、東北から九州まで広く栽培され、10年で3・5倍になった。 青果用では、かつて主力だった「ベニアズマ」「高系14号」が減り続けている。いずれもほくほく系の品種で、それぞれ前年比で6%減、10%減となった。一方、ほくほく系は総菜用、加工用に根強い需要があり、品種開発も活発化している。カネコ種苗は23年に新品種「栗かぐや」を発表。まだ統計にないが、24年には茨城県の主産地が数十ヘクタール規模で本格生産を始めるなど拡大が見込まれる。農研機構が23年に発表した、サツマイモ基腐病に強い「べにひなた」にも注目が集まる。 醸造・でんぷん用では「コガネセンガン」「シロユタカ」が減少。つる割病に強く多収の「こないしん」が、前年比45%増の1631ヘクタールと伸びている。主産地は鹿児島県。サツマイモ基腐病にも比較的強いとされる。 サツマイモの全国の作付面積は減り続けており、23年は前年から300ヘクタール減って3万2000ヘクタールだった。主産県の茨城県は、前年から230ヘクタール増えて7730ヘクタールで、6年連続で伸びている。 (古田島知則)
日本農業新聞