キャバ嬢が介護士に!セクハラ、ハプニングへの対処...キャバ嬢の経験が活きた、「つらいことは半分で受け止める」コツ
利用者さんにとって施設は家庭のような場所。だから伝え方も工夫して
――一般社会ではハラスメントになることが、介護現場では珍しくない。となると、そういうこととどう付き合っていくかがポイントですよね。受け流せとも言えないし、でもまともに“100”で食らっちゃうと心が持たない。どういう気持ちで乗り越えていらっしゃいましたか? 村上:私は全く乗り越えてなくて。というのも、全然嫌じゃなかったんです。私はお尻を触られようが、「また! もうダメでしょ!」で終わっちゃうタイプ。でも、職員にはそういう人が苦手な女の子もいました。だから介護職として立場が上になった際には、利用者さんとの間に入ったりしました。私みたいなフランクな感じじゃなく、すごく真面目な子が部下になって、「〇〇さんが嫌なんです」となった時には、「箱入り娘だからやめてよね~!」とか。度が過ぎるときは、施設や家族に相談したりもしますが、利用者さんにとって施設は家庭のような場所。ちょっと問題のある人でも、できるだけ柔らかなコミュニケーションで伝えるのが一番と思っていました。 後輩の子に対して利用者さんがよくない態度をとっている時、その子は暗い気持ちになっちゃうかもしれないけど、間に入っていって、「ほらまたぁ!もうこれペナルティだからね」とか、そういう話をして、お互い笑えるような環境を作ったりしていました。それがもしかしたら負担になっちゃう子もいるかもしれないんですけど、私が育ててきた部下の中にはあまりいなくて。「何かされたら“知美さんに告げ口しますよ”って言いな!」と伝えたりもしましたし、私と同じように自然と、受け流すようになっていったりしましたね。利用者さんとの空気感が悪くなっちゃうと、顔を合わせるのも苦痛になって、毎日つらいと思うので。現場の子たちの心が少しでも軽くなるようなアドバイスをしたりはしました。
ハプニングが起きても「最悪の事態よりいい!」と発想を転換
――本全体通して感じたのですが、村上さんの基本姿勢として、「深刻に受け止め過ぎない」っていうものを感じました。利用者さんが色んなトラブルを起こしてしまうし、思い通りにならないことばかりだけど、毎回深刻に受け止めて“100”で食らっていたら、とても身が持たない。だからこそ、半分くらいで受け止めて、いい意味で真面目になり過ぎないというか、気持ちを落とさず、前向きに仕事と向き合うためのマインドを大切にされているように感じました。 村上:「言霊」ってあると思っていて、「つらいなあ」って言うと本当につらくなるし、「○○さんのこと嫌い」って言うと、本当に嫌いになってしまう。だから、例えば忙しい時間帯に、利用者さんにトイレ以外で放尿されてしまった時なんかは、私もやっぱり人間だから「なんでこの時間に!?」「今から忙しいのに!」とか思うんですけど、でもそこで、「そっかそっか、今おしっこ出たらあと2時間は大丈夫ね!」とか、「うんちじゃなくてよかった!」とかプラスに考えてみるんです。そういう発想の転換はいつもしていましたね。
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