ステマ?それとも広告?SNSにあふれるインフルエンサー「案件」 報酬は1件数百万円も!企業が重宝する理由とは
多数のフォロワーを抱える「インフルエンサー」が発信する企業広告がインスタグラムやTikTok(ティックトック)などの交流サイト(SNS)であふれている。投稿のどこまでが広告なのかの境目はあいまいで、実は企業が隠れて宣伝するステルスマーケティング(ステマ)なのではないかと、もやもやした感覚を持つ人も多いのではないだろうか。 インスタ映えのコツとは? インフルエンサーに質問 17年
インフルエンサー広告は「案件」の隠語で呼ばれ、1件当たり数百万円の報酬が飛び交うこともある。ステマが問題視されたことで国も規制の強化に乗り出すが、インフルエンサー広告市場は今後も拡大が見込まれている。インフルエンサーを起用している企業や仲介する会社、インフルエンサー本人らに取材し、SNSの裏側で展開されている実態に迫った。(共同通信=久保田智洋) ▽知ってほしい人にピンポイントで伝わる 「お値段もお手頃なのでおすすめだよ」。化粧したインフルエンサーの女性と化粧品の写真がインスタグラムに投稿され、投稿には280件を超える「いいね」が付いていた。女性のフォロワー数は約10万人。この投稿はコーセーのブランド「FASIO(ファシオ)」の広告だ。 投稿には、化粧品の効果的な使い方や特徴が詳しく記されている。最近はティックトックなどの動画配信も使われている。こうした広告は企業が隠れて宣伝をするステマだとして批判され「炎上」することがある。コーセーの依頼を受けた投稿は「PR」や公式を示す「official(オフィシャル)」などのタグを必ず付け、広告であることを明示するようにしている。
「コーセー全体だと年に延べ千人はインフルエンサーを広告に使っています」と宣伝部の平木優花さんは話す。使い始めたのは4~5年前からで「知ってほしい人にピンポイントで伝わる」のが実感できるため、年々活用が増えている。 広告を依頼するインフルエンサーは、フォロワーが多く影響力が大きいほど費用が高くなる傾向にある。ただ、単にSNSで有名なだけではなく、ブランドの伝えたいイメージに合致したインフルエンサーを選ぶのが大事だ。その結果、少額の広告費用でも大きな効果を出したことも多かったという。 最近はSNSで「案件」という隠語が使われ、企業の広告が多いという認識も利用者に広がっている。平木さんは「以前に比べると、想定した効果が出ないことも起きている」と話す。ただ「これからも活用し続けていくのは間違いない」PR戦略の柱の一つと位置づけているようだ。 ▽宣伝だけでなく販売も。溶けるネットとリアルの境界