ステマ?それとも広告?SNSにあふれるインフルエンサー「案件」 報酬は1件数百万円も!企業が重宝する理由とは
コーセーにインフルエンサーを紹介しているのは、システム開発や広告事業を展開する「AnyMind Group(エニーマインドグループ)」だ。外国人を含めて57万人のインフルエンサー登録があり、企業の要望にあった人を紹介する。2023年3月には東京証券取引所のグロース市場に上場した。 十河宏輔最高経営責任者(CEO)は2016年にシンガポールで創業し、日本では2019年にインフルエンサー広告に参入した。「当時はどんなインフルエンサーがいるのかというデータがなかった。プラットフォームをつくって企業とマッチさせればうまくいくと思った」と話す。 SNSを巡っては、実際には影響力が低いのに、フォロワーを買って大きく見せる行為も散見されている。エニーマインドは登録しているインフルエンサーのフォロワーが急に増えるといった怪しい動きがないかをチェックし、実際に影響力のある人を紹介できるのが強みだという。
インフルエンサーの収入について聞くと、案件次第だが、広告1件で数十万円から数百万円になることもあるという。使用しているSNSは今はインスタグラムが多いが、若い世代にはティックトックの影響力が格段に大きい。ツイッターやユーチューブは比較的年齢が高く裕福な層にも届くようだ。 ちなみにコーセーは2021年から2022年にかけて、エニーマインドへのインフルエンサー広告の出稿金額が1・6倍に増えた。 十河氏は「ネットとリアルの境界はなくなっていく」と話す。現在は宣伝をすることが中心だが、今後はインフルエンサーが商品自体を販売し、販売額に応じた手数料を受け取る形が増えていくと分析。「まだまだ伸びていく余地は大きい」と強調した。 ▽勧めた商品が買われ、フォロワーにも喜ばれるのが原動力 実際に活動するインフルエンサーはどんな人なのだろうか。ツイッターで「タフ子ちゃん」の名前で活動し、8万人を超えるフォロワーを持つ女性(24)に話を聞いた。ツイッターでは「顔出し」をしていないが、写真撮影も「大丈夫です」とあっさり了承を得た。 美容系のインフルエンサーで「私が勧めた商品をフォロワーさんに『まねして買って良かった』と言われるのがうれしい」と笑顔で話したのが印象的だった。都内在住の彼女は大学時代に知り合いが経営するベンチャー企業で、インスタグラムの美容アカウントを運用する仕事をした。拡散する情報発信の「肌感覚が分かった」ことで2021年11月ごろからツイッターで活動を始めたという。