ステマ?それとも広告?SNSにあふれるインフルエンサー「案件」 報酬は1件数百万円も!企業が重宝する理由とは
今まで企業から受けた広告案件は約80件。化粧品のブランド担当者から直接、商品のコンセプトを聞いて発信に生かしたこともある。インフルエンサーによっては仕事を選ばない人もいるが、タフ子ちゃんは自身のフォロワー層を「クリアで真面目な人」と想定し、接待を伴う夜の飲食店の仕事を紹介するといった案件は断っている。 現在はインフルエンサーとしての活動で生計を立てている。気になる収入は「同世代の5倍くらいかも」だが、独立してやっていけると思えるようになってまだ1年くらい。お金よりも「美容に興味をもってもらえること」が原動力だ。インフルエンサー同士の競争が激しくなったとも感じるが「これからもずっと続けて、活動の幅も広げていきたい」と言う。 ▽個人も参入しやすく、ステマ防止ルールが守られないと危惧 サイバー・バズとデジタルインファクト(東京)の共同調査によると、SNSを使ったインフルエンサーマーケティングの国内市場規模は2023年に741億円を見込む。3年前の2020年比で2倍超の成長で、2027年には1302億円にまでさらに拡大する見通しだ。これまでは化粧品や食品メーカーが多かったが、最近は金融機関なども活用を始めているという。
影響の拡大を受け、国も規制に乗り出した。消費者庁は広告であることを明示せず一般の口コミを装うステマを、景品表示法が禁じる不当表示の類型に新たに指定した。2023年10月から施行されるため、インフルエンサー広告を扱う事業者は対応を迫られることになる。 サイバー・バズの三木佑太取締役は「業界の健全化が進んでほしい」と訴える。三木さんが入社したのは2010年で、当時インフルエンサー広告に取り組む事業者は5社程度だったが「今は千くらいあるんじゃないか」と指摘。「個人でも参入しやすく、ステマを防止するルールが守られていないことも多い。イメージが悪くなる」と危惧している。 インフルエンサー広告を含めたネット広告は拡大の一途だ。電通の調査ではテレビ、新聞、ラジオ、雑誌を合計した「メディア4媒体」の広告費の合計を、ネット広告単体が2021年に上回った。2022年もネットは伸び、メディア4媒体は減少したため、その差は拡大している。
かつて広告はメディアを使って幅広い人に情報を伝えることが主流だった。SNS上で展開するインフルエンサー広告は、認知を広げるだけでなく、興味を持った人が商品やサービスを比較する段階や購入を実際に検討する時期を狙って使い分けることが可能とされる。企業による活用が広がる理由だ。 エニーマインドの十河氏は「マスメディアの提供するコンテンツは今も質が高い。ただ収益化については今後、工夫する必要があるのではないか」と指摘した。