老朽化で解体も……全国に存在する巨大観音像 建立の理由と管理の難しさ
鵜飼氏は、コンクリート仏像には厳しい目をむける。メンテナンスを怠ると、世界平和大観音像のように老朽化して解体撤去を迫られるからだ。所有する法人は周囲に迷惑をかけないよう、どういう「しまい方」をするかも考えなくてはならないと指摘する。 「鉄筋コンクリートの建物は100年、長くても150年維持するのがやっとでしょう。一方、奈良の大仏は建立から1200年以上が経っています。銅や石の仏像はメンテナンスフリーで1000年、2000年の耐久性がある。信仰の対象はそれぐらいの時間軸で考えるべきです」 鉄筋コンクリート造の巨大観音像は、建立するより維持のほうが多大なエネルギーと費用を要するように見える。全国の巨大観音像が、今後も安全に維持されていくには、祈願するだけでは足りないようだ。
------ 伊田欣司(いだ・きんじ) 1966年、東京都生まれ。ビジネス誌の編集者を経てノンフィクションライターとなる。総合誌やWEBメディアで社会、経済、教育など幅広い分野の取材・執筆を担当