麻痺した足が動き出す ── 足こぎ車いすCOGYが放つ“夢見る力”
「リハビリは楽しくなければ続かない」
愛媛県四国中央市の通所リハビリ施設「デイケアひかり2」は、80台以上ものCOGYを保有する。「老化ストップ!!この足こぎで!」と書かれた巨大な看板が、遠くからでも目立つ。施設の車両の側面にはCOGYのイラストと、「楽しく遊んで元気になろう!!」の文字が。スタッフも利用者も、この「COGYの楽園」が大好きなのだ。
施設運営法人の会長・栗 光弘医師(87歳)は、整形外科医として長年、地域医療に貢献してきた。13年ほど前、COGYに着目して導入。利用者に好評なことから、台数を増やし続けてきたという。建物のあちこちで目にする「リハビリは楽しくなければ続かない!」の標語。この会の底流にある精神だ。 「お年寄りはわがままなんです。しんどいことはせんですよ。足こぎは、職員が乗せて、褒めたり、励ましたり、叱ったり」
「これ1台あるだけじゃ済まんです。走る場所と、見守る専用のスタッフがいる。足こぎを盛んにするには、友達と一緒にすること。楽しむ。そして競争する。勝ち負けとか目の色変えて、運動会も大人気ですよ。足こぎは、活用できたらすごい。みんなに喜んでもらいたいけん」と話す栗先生の笑顔が、ステキだ。
施設では、栗医師の理念に共感し医療系の資格を取った孫たちも、スタッフとして働く。そのうちの一人である理学療法士の村上諒(まこと)さんは、「足こぎ車椅子普及協会」を設立。「COGYは足の不自由な方の移動だけでなく、筋力の回復にも役立ちます」と説明してくれた。
COGYが生む「夢見る力」
COGYでダンスをする人たちがいると聞き、練習を見に行った。 「COGYダンスでいちばん楽しいのは、くるくる回るところ」と語るアヤさん(写真左)。2014年に脳出血からの右半身不随となり、言語障害も残ったと話すも、爽やかな笑顔がまぶしい。自治体により対応は異なるが、アヤさんは介護保険を利用し、月額1500円でCOGYをレンタルしているという。 獏さん(写真右)は81歳。20年前に右半身麻痺となった。あらゆる治療を試したうえで「2年前、COGYに出会えてよかった」と話す。「ずっと電動のシニアカー生活でしたが、COGYに乗り替えたら筋肉がついてきました。“やる気スイッチ”をオンにしてくれるので、ダンスを通じてこういう場を持てることが本当に幸せ!」 チームを率いるのが、ダンサーの、ゆふきれいさんだ。「今の私は立って歩けますが、COGYがあるという安心感は大きいです。日本全国でCOGYユーザーのダンスチームができたらいいなあ。100人ぐらいで踊りたい。夢は大きく、パラリンピックの開会式!」