「紀州のドン・ファン」は妻・早貴被告に離婚を懇願していた、死の直前、恋心は新たな女性「ミス・ワールド」に
さらに裁判では、早貴被告が4月7日に覚醒剤の密売グループに接触し、実際に覚醒剤を購入していると検察は主張している。事実であれば、野崎氏が「ミス・ワールド」と知り合って心を躍らせていた時には、すでに妻の早貴被告は野崎氏を殺害するつもりだったということになる。 ■ 行きつけの超高級天ぷら店でデート この日、検察側が「ミス・ワールド」を証人として法廷に呼んだのは、野崎氏が早貴被告と離婚したがっていたことを明らかにしようとしたからだろう。「ミス・ワールド」は野崎氏との“お付き合い”についてこのように証言している。 初めて会ったのは2018年4月27日、東京の高級ホテルのロビーで待ち合わせた2人は、関係者1人とともに、銀座の天ぷら屋に向かった。 「あまり(深い)話をした記憶はなくて、ジョークというか、ただただほめられる、そんな感じでした」 「ビューティフルとか、英語をよく使うんだなという印象はありました」
野崎氏はさらに、「ミス・ワールド」に対し“結婚してほしい”と述べたほか、その場で妻の早貴被告と電話で話し始めたという。 ミス・ワールド「こんな初対面なのに(結婚してほしいと)言うんだなと思った記憶はあります」「奥さんと電話していたのは覚えています」 検察官「どんな内容だった?」 ミス・ワールド「“離婚したい”と言っていました」 検察官「奥さん(早貴被告)の反応は?」 ミス・ワールド「“またそんなこと言って”と言っていたので、野崎さんは“離婚したい”ともすぐ言うんだなと思った記憶があります」 検察官「電話の際、野崎さんはどんな様子だった?」 ミス・ワールド「この電話の時は(真面目に)お願いしている感じでした」 ■ 田辺に来るよう誘われる 「ミス・ワールド」が野崎氏と次に会ったのは同年5月7日。証人尋問や供述調書によれば、野崎さんが「いま(都内の聖路加)病院にいてこれから大手術がある」「余命1年と言われた」「これから目が見えなくなってしまうのに誰も来てくれない」などとウソをついて、女性を病院に呼び出し、また銀座の天ぷら屋に向かったという。謝礼のつもりか、女性には10万円が支払われた。 3度目は5月21日。野崎氏が亡くなる3日前だ。 この日も銀座の天ぷら屋での会食だったが、ここで野崎氏は「ミス・ワールド」に「(5月6日に死んだ)愛犬のお別れ会がある。ビールを注いだり、仕事があるから来てほしい」「お別れ会は6月11日か12日、そのあたりで開く」と述べたという。 彼女は渋ったというが、5月24日午前には野崎氏から女性の口座に、和歌山までの航空券代として20万円が振り込まれていた。彼が亡くなった当日である。 証人尋問の最後に、後者の点をめぐり裁判員の男性が質問した。 裁判員「野崎さんから『死にたい』といった発言を聞いたことはありますか?」 ミス・ワールド「ないです」 この日の尋問について野崎氏と親交が深かったジャーナリストの吉田隆氏は次のように解説する。 「ドン・ファンが『ミス・ワールドはいいんや。(早貴被告とは)別れてミス・ワールドと結婚するから』と口にしていたのは事実です。2人が会ったという銀座の高級天ぷら店にはドン・ファンが和歌山産の高級梅干しを納入していて商売繋がりもあったようですし、気にいった方を招待する場として頻繁に利用していました。私もその店でドン・ファンが他の美女と食事するときに同席したことがあります」 実は吉田氏は、この「ミス・ワールド」を野崎氏から紹介されているという。野崎氏が彼女と2度目に会った翌日だ。 時系列に沿って説明しよう。