新紙幣の目的は「タンス預金対策」というのは本当ですか? 孫のために貯めた200万円のタンス預金は今すぐ「処理」したほうがよいのでしょうか?
令和6年7月、新紙幣が発行されました。現在の最高額面である1万円札の肖像は、40年ぶりの交代となります。そこで気になるのが、古い紙幣の扱いではないでしょうか。 本記事では、新紙幣発行にともなう旧紙幣の取り扱いについて解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
新貨幣は「タンス預金対策」は本当?
令和6年7月3日より、以下の3種類の新紙幣が発行されました。 ・1万円札(渋沢栄一) ・5000円札(津田梅子) ・1000円札(北里柴三郎) 実に20年ぶりとなるデザイン変更の目的は、ユニバーサルデザインの導入と偽造防止の強化です。額面の数字を大きくして紙幣ごとに色味も変えるなど、目の不自由な人や外国人でも区別が付きやすい工夫が施されています。さらに最先端の3Dホログラム技術が盛り込まれるなど、高度な偽造防止技術も導入されました。 ■旧紙幣はどうなる? 新紙幣が発行されたあとも、旧紙幣はこれまでと変わらずに使用できます。 日本銀行では1885年以来、56種類の銀行券を発行してきました。そのうち25種類が有効で、旧紙幣の1万円札(福沢諭吉)などはこれまで通り使用できます。また、2007年に発行停止された5000円札(新渡戸稲造)や1000円札(夏目漱石)はもちろんのこと、1万円札(聖徳太子)や1円札(大黒天)なども有効です。 ただし、自動販売機や券売機は機器が対応している紙幣しか使用できません。これらを利用する機会が多い方は、当面は新旧両方の1000円札(北里柴三郎・野口英世)などを持っておくとよいでしょう。
200万円のタンス預金の処理方法
タンス預金で大量に貯めたお金はどうすればよいのか、お悩みの方もいることでしょう。 旧紙幣はこれまで通り使用できるので、手元に残しておけばいざというときに役立ちます。しかし、必要以上のタンス預金は自然災害や盗難による消失リスクがあるため注意しなければなりません。さらに贈与税・相続税も課せられるため、孫のために貯めたタンス貯金は適切に処理する必要があります。 ■結婚資金や教育資金として贈与する 贈与税には、年間110万円の基礎控除枠があります。そのため、200万円は110万円以下に分割して複数年にわたり贈与するようにしましょう。一括で贈与したい場合には、結婚資金や教育資金として非課税制度の枠内で贈与する方法もあります。 ・父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度 平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の受贈者が、結婚・子育て資金として直系尊属(父母・祖父母など)から贈与を受けたとき、1000万円までは贈与税が非課税となります。年齢や資金の用途などの条件を満たしていれば、一括で贈与しても贈与税はかかりません。 ・直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度 平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、30歳未満の受贈者が教育資金として直系尊属(父母・祖父母など)から贈与を受けたとき、1500万円までは贈与税が非課税となります。教育資金には学費はもちろんのこと、習い事の月謝や通学の定期代、留学のための渡航費なども含まれます。 ■孫に贈与するメリット 通常、相続税は親から子・子から孫というように、相続が発生するたびに課せられます。しかし孫へ直接贈与すれば、相続税を一世代分飛ばせるメリットがあります。基礎控除枠の110万円や先に紹介した非課税制度を活用すれば、贈与税もかかりません。 そのため、多額のタンス預金は相続税対策も考慮して処理方法を決めましょう。