自分の「トリセツ」は分かっていますか? モチベーショングラフの活用方法
「モチベーショングラフ」とは、個人のモチベーションの変動を視覚的に表したグラフで、自己分析のために使われる手法。時系列に沿って、具体的な出来事や感情とともに、線でモチベーションの上昇・下降を描き出します。モチベーショングラフを作成することで、自らのモチベーションがどのような要因に影響されやすいのかを俯瞰(ふかん)し、自己理解を深めます。モチベーショングラフを作成することは、キャリア開発やサポート体制の構築にも役立てられます。
自己分析で終わらせてはもったいない! モチベーショングラフの活用方法
モチベーションは、日本語でいう「動機」。人が行動を起こすとき、行動の裏にあるエネルギーの源が、モチベーションです。意欲があるとき、人は指示を待つのではなく、当事者意識を持って自ら課題を解決しようとします。行動力に結びつきやすいことから、モチベーションの高さは職場で評価されやすい要素です。 しかし、常にモチベーションを高く保ち続けることは難しいもの。皆さんも、自身のキャリアを思い出してみてください。プロジェクトが成功したとき、責任ある役割を任されたとき、同僚から感謝されたとき、モチベーションはぐんと上がったはずです。しかし、職場の人間関係に悩んだり業務が停滞したりしたときには、つらい気持ちからなかなか抜け出せず、仕事に没頭できないこともあったのではないでしょうか。 モチベーショングラフを作ることの意義は、モチベーションの高低を可視化することで、自分のコンディションに影響しやすい要素を見つけ出すことです。 実際にモチベーショングラフを作るには、まず紙などに時間軸を設定。そこにモチベーションの上下を線で描きます。「異動」「〇〇プロジェクト」「昇進」など、モチベーションに影響を及ぼした重要な出来事もセットで記入します。 記入を終えたら、何が自分を奮い立たせ、何がやる気をそいだのかを俯瞰(ふかん)して分析します。パターンを認識できることで、自分の「トリセツ」を把握できるようになるのです。 さらに、モチベーショングラフをチームや人事担当者と共有することで、このツールは単なる自己分析にとどまらず、よりよい職場にするための貴重な情報源となります。単調な仕事が続くとモチベーションが下がりやすい社員がいれば、その人には変化のある業務を担当してもらう。頼りにされることでやる気につながるタイプであれば、少し背伸びをさせてプロジェクトリーダーを任せるなど、少し思い切った采配もできます。 またチームメンバーで結果を見せ合うと、それぞれの特性を理解し、メンバー間のコミュニケーションに変化が現れるかもしれません。 モチベーショングラフはあくまで個人の軌跡ですが、個人の成長の積み重ねが会社の成長を形づくります。社員一人ひとりが自己理解を深め、チームとしての団結力を強化することで、個々の強みを引き出す組織運営が可能になるのです。