トヨタ・オーリスにHV追加 ゴルフの影とCセグメントの苦悩
トヨタ・オーリスにハイブリッドモデルが追加された。オーリスはCセグメントのスポーツ・ハッチバックで、先祖をたどれば、カローラの兄弟車であるスプリンターにたどり着く。当時からカローラと比較して若干ながらスポーティーな位置づけを与えられていたクルマだ。 【画像】新型「パッソ」はトヨタとダイハツの未来を指し示す“事件”
Cセグメントの元祖ゴルフの高い壁
2006年に初めてオーリスの名で登場し、2012年にフルモデルチェンジが行われ2代目になった。Cセグメントである以上、ライバルは当然フォルクスワーゲン・ゴルフになる。ゴルフは言うまでもなくフォルクスワーゲン・グループの主力艦。排ガス偽装問題で会社のあり方そのものは問われているが、一方で製品の戦闘力はまだまだ高い。第五世代(2003-2009)と第六世代(2008-2012)のゴルフはフォルクスワーゲンの無敵の黄金期であったと言える。第七世代の現行になって、さしもの無敵感も少しピークアウトという気配が感じられた頃合いにスキャンダルが起きるあたりも運命の皮肉を感じる。 ゴルフは特殊なクルマである。Cセグメントの元祖として勝手にブランド品になってしまった。フォルクスワーゲンがブランド戦略を周到に行ってブランド品に仕立てたわけではなく、新しいジャンルを確立した元祖であるが故の自然な成り行きでそうなっているだけである。だからその構成要素を子細に研究して、ゴルフが何故ブランド品、あるいはプレミアム商品として成立しているかを考えても無駄である。 何よりもその手法はフォルクスワーゲン自体が失敗している。第四世代のゴルフは、積極的にブランド価値向上を狙いに行った製品だった。拘ったのはビルドクオリティ。つまりチリ(パネルなどの隙間)を徹底的に合わせることや、内外装の質感向上だ。狙った通りのクルマに仕上がった結果、ブランド好きな日本の顧客にはそれなりに評価されたが、肝心の走りの方がピンぼけだったため、欧州では散々な評価を受け、誰もが予測しなかった伏兵フォード・フォーカスに負けて、Cセグメントの王者の座を明け渡す事件が発生したのである。