東京五輪新競技3人制バスケ日本代表候補が「面白くない」発言張本氏に反論
彼は自らを「ストリートボーラー」と呼ぶ。 父が車の技術者だった関係で、小学校年から高校2年までの多感な時期を米国オハイオとセントルイスで過ごした。そこで出会ったのが、生活の一部に溶け込みカルチャーになっているバスケットだった。老若男女が街中のコートや体育館に集い、ピックアップゲームと言われる即興チームを作って、勝ち抜き戦をやる。中学の頃から、大人のチームに無理して入れてもらい「そういうチームを倒すのが楽しかった」という。 帰国後、明治大のバスケット部に、一般入試から入部したが、挫折して1年で退部した。絶望して行き場をなくした鈴木が誘われたのが、自由に自分を表現できるストリートバスケットの世界だった。 スポーツトレーナーの専門学校に進み、弁当配達などのバイトをしながら就職することもなくバスケットを続けた。現在は、ストリートバスケットのアパレルブランド「ballaholic」などを運営する会社に勤め、生活は安定しているが、ストリートバスケットは、周囲に助けられながら食べることより優先してきた彼の人生そのものだった。 「もうバスケットホーリック(中毒)なんですね。ボールひとつで世界中にいけたし人の輪も広がりました。でも、もっとうまくなりたい、新しいことを学びたい。飽きることがないんです。練習のイメージ以上のことが、ごくたまに試合でできることがあって、そういうときは楽しくて仕方がないんです」 180センチ、82キロのサイズの鈴木が得意とするプレーは、クロスオーバーと呼ばれる1対1で相手を抜き去る、強さと俊敏さ。そして2ポイントも含めたシュート力だ。その闘志をむき出しにするプレーはファンに評価されている。現在は、24時間営業のジムを使ってフィジカルを鍛えながら、週3で社会人のクラブチームであるRBC東京の練習に参加している。3×3を知り尽くすベテランは4年後に思いを巡らす。 「3年後は、39歳です。どこかででかいケガでもしたら五輪出場はないでしょう。1日、1か月、1年とコツコツと地味に積み重ねていくしかないんです。でも、この競技は、瞬間、瞬間のスピーディな判断が求められ、勝敗を左右させます。だから経験がモノを言うんです。 外からのシュートの正確性や1対1には自信がありますし、経験の部分で勝負できると思っています。決してバスケットエリートでなかった僕が、日本代表になれました。ここからさらに、どこまで高いところまでいけるか。ストリートボーラーの最高地点を作りたいというのが目標です。ストリートオリンピアンになれれば、後に続く人の目標になりますよね」 11月のアジアカップの日本代表入りを東京五輪へのスタートにしたいが、3×3の日本選手権を優勝したことでRBC東京としてクラブチームの3×3ワールドツアーに出場することは決定している。 ちなみに彼の言うストリートボーラーの定義とは、「プロでもアマチュアでもなく。どこでもいつでも場所を選ばずバスケットをしている狂った奴」だそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)