急成長の中国製タイヤ、生産拡大急ぐ 欧米の高まる需要へ対応
中国の自動車製造業が世界に広がり、タイヤ産業もその後を追うように勢いよく成長し、世界市場で徐々に競争力と影響力を増している。 中国のタイヤ業界で群を抜く実力を持つ「玲瓏輪胎(Linglong Tire)」はこのほど、セルビア北部ズレニャニン市の生産拠点に6億4500万ドル(約960億円)を投じて生産能力を拡大する計画を発表した。2025年1月に着工、30年の年末までに完成の予定で、欧州市場におけるタイヤの需要拡大に応える。生産能力が拡大すれば、売上高と利益はそれぞれ平均で年間2億8180万ドル(約420億円)と1億2280万ドル(約180億円)に増加すると見込まれ、投資回収期間は5.79年と予測されている。 また、9月中旬にヨーロッパ初の中国タイヤ工場であるLinglong International Europe d.o.o.(欧州玲瓏)も正式に量産を開始した。
中国タイヤメーカーの勃興
中国のタイヤ製造業は1958年に始まった。当時メーカーはわずか10社で、年間生産能力は100万本だった。数十年かけて成長を遂げ、今や中国は世界最大のタイヤ製造国、消費国となった。現在、約300社のメーカーを擁し、年間1億本以上を生産する。 今年に入って電気自動車(EV)の需要が堅調で、米国と欧州向けのタイヤ輸出量が前年から20%増加すると、中国の乗用車用タイヤ工場の設備稼働率は2014年以降で最高の80%に達した。 中国のタイヤ業界では今年、生産能力の拡大が相次いでいる。20社近いメーカーが生産拡大計画を発表、20件以上のプロジェクトに総額300億元(約6000億円)近くが投じられる。すべてのプロジェクトが稼働を始めれば、セミスチールラジアルタイヤ9300万本以上、オールスチールラジアルタイヤ800万本の生産能力が上乗せされることになる。自動車の保有台数が増加し、車両性能に対する消費者の要求が高まるにつれ、セミスチールラジアルタイヤの需要は拡大を続けている。海外市場でもタイヤ需要は増え続け、特に欧米でセミスチールラジアルタイヤの需要が目に見えて回復した。 英国の調査会社ブランドファイナンスは6月、今年最も価値があり実力を備えたタイヤブランドをまとめたレポートを発表した。レポ―トによると、世界で最も急成長を遂げているブランドの半数近くが中国のメーカーだった。注目の中国ブランドである玲瓏輪胎や賽輪輪胎(Sailun Group)、森麒麟輪胎(Sentury Tire)は、海外市場の巨大な需要を背景にブランド価値をそれぞれ11%、10%、17%ずつ向上させた。 詳しい記事を読むには:自動車に続き中国製タイヤが世界市場で存在感、その競争力とは https://connec2.jp/report (36Kr Japan編集部)