スマホの位置情報が悪用される!? いつの間にか自分の生活が監視されている恐ろしい2つのパターン
前者の、位置情報を盗み出すスパイウェアの代表例にはPegasus(ペガサス)がある。これはイスラエルの企業が開発したもので、感染すると位置情報や通話内容をはじめとするさまざまなデータの収集や、カメラの遠隔操作が可能になってしまう。これについては2024年4月、Appleが92カ国のiPhoneユーザーに対してスパイウェアの標的になっていることを警告した。 後者の、アプリを悪用するパターンでは、スマホ紛失時の端末追跡や盗難防止を謳うアプリが、ユーザーの同意なしに遠隔操作で位置情報や通話履歴、連絡先などの個人情報を収集できるとして問題になった。中には、遠隔で写真撮影や音声録音ができてしまったり、アプリ一覧から非表示にすることでインストールしたことを隠せてしまうものもある。スマホにこっそり仕込まれて、行動を監視されたりデータを抜き取られたりという被害が出た。
その他、若年層がよく利用する位置情報共有アプリにも危険が潜んでいる。本来の用途は、子どもや家族間の安全を確認したり、友人間やランニング仲間などで居場所を共有して「近くにいるから会おう」とスムーズに連携したりするものだ。 しかし、位置情報の共有設定を常にオンにしていたり、うっかりオフにし忘れたりすれば、自分の位置情報がいつまでも筒抜けになってしまう。人間関係のもつれやトラブルが起きた場合など、アプリを通して自分が追跡されてしまう恐れもあるだろう。
■リスクを理解したうえで、適切に使用して利便性を享受 こうしたリスクを鑑みると、スマホの位置情報や位置情報共有アプリは使用すべきでないと考える人もいるかもしれない。 しかし、それはテクノロジーの発展の果実を自ら手放すようなものだ。大切なのは、位置情報の利用で発生し得るリスクを理解したうえで、できるだけ事故を防ぐ使い方をして利便性を享受していくこと。セキュリティソリューションを提供する、ラック コーポレートコミュニケーション室の飯村将ひこ氏は、実体験を交えてこう説明する。