エアコン暖房「つけっぱなし」と「こまめに消す」どっちが節電になる?プロに聞いた節電方法
空気の性質を利用した節電方法
――空気清浄や空気のかくはんも節電につながるのですか? 重政さん:加湿空気清浄機能は、室内の湿度を上げて体感温度を高めたり、空気をかくはんして室内の温度ムラを抑えて足元まで暖かく感じやすくしたりすることにも役立ちます。エアコンの設定温度の上げすぎを抑えられるので、結果、節電にもつながります。 ――足元の寒さを気にしている人は多そうです。エアコンだけでどうにかできますか? 重政さん:エアコンは天井付近に設置された室内機内部の温度センサーで室温を確認しています。あたたかい空気は上昇し、冷たい空気は下に溜まりやすいため、暖房中の室内は温度ムラが発生しやすくなっています。 天井にあたたかい空気が溜まっていると、その空気を検知したエアコンは「もう十分あたたかい」と判断して運転を止めてしまいます。けれど床のほうは十分にあたたまっておらず、天井側と床側に温度ムラが生じている状態です。こうなると、多くの場合、足元の肌寒さを解消するためエアコンの設定温度を上げると思います。こういった状況をやわらげるには、エアコンの吹出口を下に向ける(いちばん下の設定にする)方法があります。 ――吹出口を下に向けるだけで温度のムラを抑えられるというのは嬉しいです。 重政さん:これは、あたたかい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすいという性質を利用した工夫です。あたたかい空気をはじめから天井側に吹き出さず、床の方に吹き出してから自然に上昇させることで、室内の温度ムラをある程度抑えられます。ちなみに、温度を1℃下げると消費電力は10%ほど下がるといわれています。
節電につながる豆知識
――エアコンの風量は“弱”にしたほうが節電になりますか? 重政さん:最初から風量が弱だと、熱交換器を通る空気の量が減り、室内に送り出す熱の量も減ってしまうため、室内があたたまるまでに時間がかかってしまいます。そのぶん圧縮機に負担がかかり、世計な電力がかかります。風量を“自動”にすると起動後はすばやく部屋を暖かくし、部屋があたたまると安定運転に切り替わるので、風量を弱にするよりも節電につながります。 ――エアコンによっては暖房時、リモコンの20℃以下に“省エネ”などのマークが表示されることもありますが、21℃以上にすると電気代はグンと上がりますか? 重政さん:エアコン暖房を使用する際、室温が20℃になるような設定温度が推奨されていますが、エアコンは、20℃を境にして消費電力が急激に増加する訳ではありません。基本的に、室温と設定温度の差に応じてエアコンの消費電力は増減します。また、温度を1℃下げると10%ほどの節電になるともいわれています。こうしたことも踏まえつつ、お住まいの環境や体調なども考慮しながら、無理のない範囲で設定温度を意識してみてはいかがでしょうか。(※ダイキン工業の製品には20℃以下の“省エネ”表示はありません) ――なるほど。 重政さん:それから、室内の熱の多くは窓から逃げていくといわれています。エアコンは、屋外の空気中から集めた熱を室内に送り込んで暖房しています。室内の熱が逃げると、エアコンはそのぶんの熱を集めてこなくてはならなくなり、消費電力量が増加します。室内の熱をできるだけ逃がさないように、断熱性のあるカーテンや床までしっかりと覆ってくれるカーテンを選ぶといいですね。