「人生、素晴らしいのにね」という一言の重さ…海外に出たことで日本の「強烈な固定観念」から解放された若者たちの変化
「人生なんとかなるから、やりたいことをやらなくちゃ」
ワーホリでシドニーに滞在、バリスタとして働く古河清史さんも実感したことがある。 「生きやすいんです。何をしていても、特に何を言われることもない。自分のやりたいことをやればいい、という感じです。また日本人って、仕事のために生きているところがありますよね。でも、こっちの人と会話していると、〝来月から3か月、ヨーロッパ旅行に行くんだ〟と楽しそうに語るわけです。あとで同僚に聞くと、〝そりゃ会社は辞めるよね〟と。プライベート、自分の幸せ、楽しいことが第一優先なんです」 そしてワーホリで古河さん自身も、それを体感している。 「発見と驚きの毎日ですから。社会に出ると、日本では変化が少ない。でも、海外に出れば、変化が毎日ある。いろんな考え方、生き方に触れられる。それは日本では絶対に感じることができないと思います。毎日が楽しいです」 新しい発見が大きな可能性を生んでいるのを間近でも見た。 「オーストラリアのアルバイトでバリスタという仕事に目覚めて、日本でやるんだ、と嬉々として帰国していったワーホリの大学生がいました。こういうのもいいな、と思ったんです。日本だと飲食業に踏み出すのは、大学生からするとリスクが高いことだと思うので、これもワーホリならでは、ですよね。でも、日本では味わえない経験、おいしいコーヒーを知ったんだろうな、と思いました」 日本を出発する前、そしてワーホリから戻ってきた後の若者をたくさん見てきたワールドアベニューの留学カウンセラー、染野絵里佳さんはこう語る。 「人生なんとかなる、という考え方になる方がやっぱり多いですね。だから、やりたいことをやらなくちゃ、楽しまなくちゃ、と。また、思い込みを捨てられたという方も多い。 日本では、女性が年齢を気にしたりしますが、海外に出れば女性の年齢なんて気にしません。また、看護師だから看護師として働かないといけない、と留学前には思っている人が多いですが、そうじゃなくて、いろんな道があっていいとわかった、という方も多い。 全体的な印象は、強くなって帰ってくること。思っていることを口に出さないと伝わらない世界で生きるとそうなりますね。うれしいです。変化が見られるのは」 上阪 徹 ブックライター ※本記事は『安いニッポンからワーホリ!最低自給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
上阪 徹