JALのボーイング787型機の機内検証 ── 何を確認するのか立ち会った
事前確認では、ベビーバシネットが取り付けられるビジネスクラスの一部座席やエコノミークラスの最前列壁面などで設置テストを行いました。チャイルドシートについては乳幼児の発育に応じた体位で固定できるように、様々な角度で傾けた状態で念入りにチェックしていました。
専用の車椅子は移動できるか?
日本航空では「JALプライオリティ・ゲストサポート」と呼ばれるサービスを展開しています。これは、体が不自由だったり、けがや病気で動けなかったりする乗客のためのサポートです。事前に申告すると、その介護状況に応じたサービスが受けられます。サービスを受ける乗客が搭乗する際に必要な導線が確保されているかといった点も機内検証で確認していました。 呼吸器系の病気を患っている乗客向けには、専用の医療用酸素ボトルが貸し出されます。空気が薄くなる機内でも正常な呼吸を維持するために各座席の電源に接続し、座席上で支障なく使えるかを確認していきます。また、体位が固定出来ない乗客向けには、リクライニングした状態で上体固定ベルトでシートに体を固定する試験も行われました。
機内のレイアウトが大幅に変わると、専用の車椅子が通路を通行できるか確認しなければなりません。機内では通路幅の関係で通常の車椅子は使用できないのです。車椅子利用者が搭乗する際は、専用の車椅子を使用して座席やトイレへの移動を行います。そこで、今回の検証では、専用の車椅子を利用したスタッフが、各クラスの通路を実際に移動。通行確認や座席への着席確認を行ったほか、車椅子でのトイレの利用についてのチェックが行われました。
JALを支えるハードとソフト
日本航空では2014年6月から、積極的に新たなサービスを開発・展開していくことを1つの柱とした「チャレンジJAL」宣言と呼ばれる施策も始めており、「質」で勝負するという姿勢を鮮明にしています。 そのため、2013年にボーイング777型機で展開を始めた「スカイスイート」ファミリーは、サービスの質で勝負する日本航空の鍵となるハードと言えるでしょう。そのハードでサービスを行うすべてのスタッフがその特性を熟知し、すべての乗客に世界に通用するきめ細かなサービスを実現するためには、地道な確認作業によって十分に情報が共有されるソフトが必要不可欠なのです。