「#ワークマン女子」400店舗出店で逆転ホームラン狙うも客足は軟調…一般衣料市場でワークマンが抱える致命的な弱点とは?
卸売業に近いワークマンのビジネスモデル
ワークマン女子で販売する商品は、低価格かつ機能的であることが最大の特徴だ。価格帯の競合にはファーストリテイリングのGUと、しまむらがある。GUは機能性とは真逆のトレンド志向だ。しまむらは機能性とトレンドの中間あたりに位置している。競合とはポジショニング上の差別化を図れているのだ。 ワークマン女子は、しまむらが得意とするホームセンター・スーパー隣接型の店舗と、GUが得意とするショッピングモール・路面店で出店を重ねる意向を示している。3つのブランドが真正面からぶつかり合う未来が想像できる。 ただし、ワークマンはしまむらやファーストリテイリングとは全く異なるビジネスモデルを採用しており、それがリスク要因になる可能性がある。それがフランチャイズ型のビジネスだ。全店舗の94.2%がフランチャイズ加盟店なのである。 ワークマンの営業利益率は17.5%。しまむらが8.7%だ。原価率はワークマン、しまむらともに65%程度だ。違うのは販管費率。店舗の家賃や人件費の負担が軽いワークマンは経費を安く抑えることができ、利益率を高めることができる。いわば卸売業に近いのだ。 利益率が高いのであれば、マイナスのリスクにならないのではないかと思うかもしれない。しかし、利益率では測れない弱点を抱えている。
ワークマンの一般向けウェア・グッズに品切れが多い理由
SNSで話題のウェアやグッズがワークマンの店舗で品切れだった経験はないだろうか?これにはフランチャイズ主体のビジネス特有の問題が関わっている。 フランチャイズ加盟店は、独立した法人が運営を行なっている。先ほどワークマンは卸売業に近いという話をしたが、まさにフランチャイズ加盟店は本部から仕入れを行なっているのだ。 加盟店オーナーとしては、たとえ売れ筋商品があっても在庫が山積みになるリスクは避けたい。必然的に仕入れの量は抑制気味になる。身銭を切るのだから当然である。 品切れ対策として、本部がECに力を入れればいいのだが、ワークマンは基本的にフランチャイズオーナーを儲けさせて稼ぐビジネスモデルだ。売れ筋商品でバンバン広告を打って本部が儲けようものなら、加盟店オーナーから反発を食らうのは必至なのである。 フランチャイズ主体で店舗を拡大する場合、直営に比べて在庫コントロールが難しい。品切ればかりで消費者の失望を買う可能性もある。 実はこれまでのワークマン女子のモール内出店はすべて直営だった。店舗運営会社への業務委託という形ではあるが、仕入れの自由度は高かったはずだ。しかも、ワークマンは女性向け衣料の拡大を狙っている。増収に向けたサポートは十分に行なっていたはずだ。 それにも関わらず、2024年3月期におけるワークマン女子の既存店の売上高は、前期比11.1%の減少だった。既存店はオープンから一定期間が経過した店舗を指し、集客しやすい新規開業効果が効きづらいため、実力を把握しやすい。 これが経営陣の懸念する、リピーター化が課題だというものだ。