J2で苦節16年、堅守速攻の岡山がJ1昇格…チーム名は桃太郎ゆかりの「キジ」
J1昇格プレーオフ決勝(7日・岡山シティライトスタジアム)――J2で5位の岡山が同6位の仙台を破り、J1初昇格を果たした。20分にMF末吉のゴールで先制した岡山は、61分にも追加点を奪い快勝した。仙台は4季ぶりのJ1復帰を果たせなかった。
岡山2―0仙台
J2で戦うこと16シーズン目。2016、22年のプレーオフでははじき返された岡山が、ついにJ1への扉をこじ開けた。
木山体制3季目となり、堅守速攻が熟成の域に達した。リーグ戦38試合で無失点試合は20を数えた。1試合平均失点は0・76。堅い守りは、岡山の屋台骨を支えている。だが、今季加入の東京五輪ドイツ代表GKのブローダーセンは言う。「失点ゼロを目指すことだけが僕たちのやり方ではない。攻撃的に点を奪うための守備がしたい」
20分、相手陣内のこぼれ球を激しいプレスで奪う。FW木村が懸命に足を出してパスを送り、MF末吉が柔らかく相手GKの頭上を越えるシュートを放ち、先制点を奪った。61分には代わったばかりのFWルカオからのパスをMF本山がフリーで決めた。「完璧なパスをくれたので振り抜くだけだった」と本山。「このチームは全員がハードワークできる」と胸を張る。
主将のMF竹内は「サポーターを含めた全員の思いがこの結果になった。来年もみんなと戦いたい」と力を込めた。これがゴールではなく、J1へのスタートだと知っている。(河村真司)
オナイウ「まだまだ未熟」
後半から出場した仙台のMFオナイウが、スピードで岡山を慌てさせた。50分過ぎ、左サイドを一気に駆け上がり強烈なシュートを放ったが、相手GKの好セーブでネットは揺らせず。「決定的な場面で、仕事ができなかった自分が許せない。まだまだ未熟だった」と大一番で結果を残せず悔しそうだった。
岡山・木山監督「2点目が入って勝利を確信した。(来季は)初めて大きな海へと飛び立つ渡り鳥のようなもの。目的地まで力強く飛び立ちたい」
仙台・森山監督「岡山は守らせたら天下一品。そこを崩す迫力がなかった。J1に上がる力がまだまだ足りない」
ファジアーノ岡山=前身は川崎製鉄水島のOBが1975年に結成したリバーフリーキッカーズ。2004年から現チーム名で活動を開始し、07年にJリーグ準加盟となり、09年にJ2昇格。ファジアーノはイタリア語で「キジ」。岡山県の県鳥でもあり、地域に伝わる桃太郎の鬼退治物語でキジが活躍したことから命名された。