やめたいタバコ、甘いもの…あなたの「変わりたい」引き出す面接法
一方的な説得やアドバイスではなく、相手が持つ「変わりたい」という思いを引き出すことで行動の変化を促す「動機づけ面接法」という心理学の手法がある。依存症の治療や少年院の矯正教育などで活用されているが、日常生活にも応用できるその考え方を学生らに知ってもらおうと、少年院の院長らによる講義が佛教大紫野キャンパス(北区)で開かれた。 多摩少年院(東京都八王子市)の青木治院長らが講義した。青木院長は「甘いものを控えたいとき、人に向かって『やめようと思う』と宣言すると(自身の行動が)変わる可能性が大きくなる」と動機づけ面接法の原理を説明。続いて学生らが、動機づけ面接法の基礎となる、相手の話に共感したり相手の意思をくみ取ったりするレッスンを受けた。 その上で青木院長は理解を深めるために、具体的なシチュエーションを例示。「タバコをやめたいと思ってはいるが、うまくいかない」と話す人に対して、「なぜうまくいかないんでしょう」などと対応するのではなく、相手の「変わりたい」という欲求にかかわる「チェンジトーク」と呼ばれる部分に着目する重要性を指摘。「やめたいと思っているんですね」などと寄り添うことで、相手からさらにチェンジトークを引き出し、行動の変化を促せるとした。 青木院長は「人との信頼関係をつくることはどこの職場でも大切になると思う。学んだ技法を使ってよい社会人になってもらえれば」。講義に参加した社会学部3年の山本智文さん(20)は「人の話を聞いたりする技術は学びになった。日常生活でも活用していきたい」と話した。(荻野好古)