「土星食」瞬間を撮影 本紙で天文学企画を連載の水谷さん「奇跡的」 三重・松阪
夕刊三重新聞の企画「身近な天文学 あれこれ?」を執筆する元プラネタリウム解説員・水谷潔さん(86)=三重県松阪市垣鼻町=が8日、土星が月の影に隠される「土星食」の瞬間を写真に捉えた。 地球の周りを公転している月は、地球上から見ると西から東へと日ごとに少しずつ移動して見え、月が背景にある天体を隠す「食」を起こすことがある。 今回は、月が土星の軌道の前を通るために起こる「土星食」。夜間の南の空高い位置で、月が月齢6.9のほぼ半月と、それほど明るくなく、観測しやすい条件下で見られるのは、22年ぶりだという。(5日付6面「身近な天文学あれこれ?」参照) この日、水谷さんは、松阪市内で土星食が見られる午後6時18分に備え、自宅敷地内に天体望遠鏡やカメラなどの機材をそろえてスタンバイしていたが、直前に雨がぱらつく悪天候に。望遠鏡に傘を差し掛けながら晴れることを祈って待機していると、同6時ごろに奇跡的に雲が割れて月が現れたという。 急いで露出条件を整え、待ち構えていると幸いにも完全に雲が切れ、同6時18分28秒から、月に次第に隠されていく土星の「潜入」の様子を観測、撮影できた。 ただ、同6時半ごろからは再び雲がかかり、同6時50分ごろに月から再び姿を見せる「出現」の頃には月の姿は完全に見えなくなってしまったという。 水谷さんは「潜入時の晴れ間は、神が雲の窓を開けてくれたかのように感じました」と喜んでいる。