好きな人の写真を見ると瞳孔は広がる? 瞳孔と自律神経の不思議な関係
「心身の不調は自律神経が原因かもしれない」「自律神経のバランスが乱れている」などとよく耳にします。そもそも、自律神経とはどのような神経なのでしょうか? 簡単に言えば「内臓の働きを調整している神経」。全身の臓器とつながり、身体の内部環境を守っています。自律神経に関わる歴史的な研究を辿りながら、交感神経・副交感神経の仕組みや新たに発見された「第三の自律神経」の働きまで、丁寧に解説していきます。 【写真】ついにわかった「ジムに行かなくても体力がつく」すごい方法 *本記事は『自律神経の科学 「身体が整う」とはどういうことか』を抜粋・再編集したものです。
瞳を見れば、自律神経の活動がわかる
鏡で自分の黒目をじっくりご覧になったことがありますか。黒目は「ひとみ」といい、目の中心にある小さい黒い丸のようなところ。専門用語では瞳孔とよび、光はここを通って眼球内に入っていきます。 瞳孔の大きさは周囲の明るさで変わります。試しに明るいところから暗いところに行ってみてください。瞳孔が広がるのがわかるでしょう。瞳孔が大きくなることを散瞳といいます。明るいところでは逆に瞳孔が縮みます。縮むことで目に入る光の量を減らし、目を保護しているのです。瞳孔が小さくなることを縮瞳といいます。 瞳孔の周りの色のついた部分は虹彩とよばれます。人によって茶色かったり、青かったりしますね。虹彩には2種類の筋肉があり、これらの筋肉によって瞳孔に入る光の量は調節されているのです。 筋肉のひとつは瞳孔括約筋、瞳孔の周りを同心円状に走る筋肉です。瞳孔括約筋には副交感神経がつながっており、副交感神経の活動が高まると瞳孔括約筋は収縮して、瞳孔は小さくなります。もうひとつの筋肉は、瞳孔の周りを放射状に走る瞳孔散大筋。こちらには交感神経がつながっており、交感神経の活動が高まると瞳孔散大筋が収縮して、瞳孔が大きくなる仕組みです。 このように瞳孔の大きさは虹彩の筋肉に分布する自律神経によって調節され、交感神経と副交感神経の活動のバランスで決まっています。