手紙によって翻弄される恋人たちの運命やいかに。マスネ最大のヒット作『マノン』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
マスネ オペラ『マノン』 手紙はオペラの重要な小道具
今日7月23日は、「文月ふみの日」です。“素敵ないわれ”でもあるのかと思って調べてみると、単に「ふ(2)み(3)」の語呂合わせで、毎月23日が「ふみの日」なのだとか。 その主旨は「手紙の楽しさ、手紙を受け取るうれしさを通じて文字文化を継承する一助となるように」というもの。ただし、7月は文月であることから、この日は特別に「文月ふみの日」として、イベントなどが催されるようです。 さて、SNSやメールの無い時代に生まれたクラシック作品には、手紙が頻繁に登場します。その代表的な作品の1つが、フランスの作曲家マスネ(1842~1912)のオペラ『マノン』です。第2幕において、手紙によって翻弄される恋人たちの運命やいかに。 ヴェルディのオペラ『椿姫』にも共通する小道具としての手紙の存在が際立ちます。『マノン』は、マスネのオペラの中で最も成功した作品の1つとして知られ、パリのオペラ・コミック座での上演回数は、1959年までに2000回を超えたと伝えられます。まさに、手紙の威力は絶大です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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