“レジャー”のつもりが“犯罪行為”…密漁が横行:罰則強化、ルール確認を!
国や自治体では連携して、ルール周知のための看板設置や、海辺の監視を強化している。水産庁は「都道府県ごとに密漁に関するルールが定められているため、確認してから海のレジャーを楽しんでもらいたい」と呼び掛けている。 自治体ごとのルールをみると、神奈川県ではほとんどの海域で共同漁業権が設定されており、アワビ、サザエのほか、ワカメ、コンブといった対象種を捕ることは漁業権の侵害となる。潮干狩りでは、幅15センチ以下の「熊手」はOKだが、爪の間に網がかかった「忍者熊手」や「鋤簾(じょれん)」は使用不可。愛知県では、海で漁業者以外が使える道具を、釣りざお、投網、たも網などと具体的に定めているほか、アユやボラ、シラウオといった特定の魚種には採捕禁止の期間やサイズを設定し、注意を促している。
釣りにもクロマグロ規制、小型はNG
愛好者の多い釣りの場合も、「海のダイヤ」と呼ばれるクロマグロについては厳しいルールがある。国の広域漁業調整委員会の指示により、30キログラム未満の小型は採捕禁止で、他の魚種を狙って偶然釣れた場合でも、即リリースせねばならない。 30キログラム以上の大型は、1人1日1匹まで持ち帰ってもOKなのだが、スマートフォンのアプリなどを使い、国への報告が義務付けられている。2024年春から報告期間が、これまでの陸揚げ後5日以内から3日以内に短縮され、指示に従わない場合は「農林水産大臣名で指示に従うべき旨の命令が発出され、従わない場合は罰則が適用される」(水産庁)という。 さらに、時期別に採捕数量が設けられており、上限に達する恐れが出ると「釣り禁止」が公示される場合がある。実際、24年は4月6日から5月31日までは、大型クロマグロも採捕禁止期間となった。違反すれば、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が適用される可能性がある。 「知らなかった」「つい、うっかり」では済まされないので、海辺のレジャーや釣りに出かける際には、地域のルールや情報を確認しておく必要がある。特に「クロマグロをたくさん釣って一獲千金だ」などといった邪(よこしま)な考えは、もっての外なのだ。
【Profile】
川本 大吾 時事通信社水産部長。1967年東京生まれ。専修大学を卒業後、91年時事通信社に入社。水産部で築地市場、豊洲市場の取引を25年にわたり取材。著書に『ルポ ザ・築地』(時事通信社、2010年)、『美味しいサンマはなぜ消えたのか?』(文藝春秋、2023年12月)。