長引く森友問題 改ざんを生んだのは制度か政治手法か
本末転倒な「政治主導」
「政治主導」とは、官僚が政治家の言葉の辻褄合わせをして、事実を人びとから隠すことではない。政治主導の主役はそもそも政治家ではない。政治主導に意味があるとすれば、それは国民の意思を政策運営に反映させようとするところにある。 財務省による文書改ざん問題は、官僚の暴走であれ、忖度であれ、国民を軽視して疎外し、国民と政治家・官僚との間に断絶をつくるものでしかない。官僚に対する政治的コントロールを強化してきた中で起きたのが今回の問題である。政治主導の強化によって、政府が国民の財産である公文書を破棄、改ざん、隠蔽し、正しい情報や説明を国民に提供しないことになっているとするならば、まさに本末転倒であろう。
----------------------------------- ■高安健将(たかやす・けんすけ) 成蹊大学法学部教授。専門は比較政治学・政治過程論。Ph.D. (Government) University of London. 著書に『首相の権力―日英比較からみる政権党とのダイナミズム』(創文社)、『議院内閣制―変貌する英国モデル』(中公新書)など