スマートロックが開かなくなった!? そんなときの保険にUSB電源でも動くスマートなキーボックスを【テレワークグッズレビュー】
以前紹介したとおり、我が家では玄関の鍵に指紋認証対応のスマートロックを導入している。最初のころは一応鍵を持って出かけていたが、今ではその習慣もなくなった。何しろ指紋で解錠できるのだから、鍵どころかスマホを忘れても問題ない。 【画像】我が家で導入したSwitchBotのスマートロック「ロックPro」と「指紋認証パッド」。詳細は関連記事をご確認いただきたい 同居している義父は、指紋認証で失敗することも多いが、その場合は暗証番号で開けている。そしてそれを見ていた娘(5歳)も暗証番号を覚えてしまい、いつの間にか自力で開けられるようになってしまった。 元はと言えば、テレワーク中に帰ってきた娘が、早く鍵を開けろとインターホンを連打するというのがあって、これが客先とのWeb会議中などだととても困るので、離席しないですぐに鍵を開けられるようにと導入したのだが、期せずして自分で解錠できるようになってしまったので、インターホンを連打すること自体がなくなった。 まぁスマートロックに全く問題がないかと言えば、そんなことは無くて、指紋認証が通ったのになぜか解錠しないことがあったり、自動施錠がなぜか効かないことがあったり、ちょこちょこ不満はある。が、かと言って使うのをやめるかと言ったらそれはない。以前のように玄関の前で鍵を探す手間や、あるいは鍵の閉め忘れ、鍵を会社に忘れてきた、なんていうリスクを考えれば、メリットがデメリットを大きく上回る。 ■ 便利なハズのスマートロックが一変、鍵が開かないだと!? と、そう思っていたのだが、そんな考えを一変させる出来事が起きた。なんと鍵が開かなくなったのだ。 施錠時には問題無く閉まったのだが、開けようとしたら開かない。スマホアプリを見ると、「解錠中に引っかかりました」とか、「非常用電力が使用」などとメッセージが出て解錠できない。「緊急解錠」というのも試みてみたが、ダメ。今までも時々うまく行かないことはあったが、こんなエラーが出たことはない。コレは明らかにいつもと違う! マジでヤバいやつじゃないか!! 幸いなことにこのときは家に義父がいたので、中から解錠してもらうことができた。が、もし誰もいなかったら大変だ。すっかり便利さに気を許していたが、やはり過信は禁物だ。かといって鍵を持って歩くのはイヤなので、別の方法を考えたい。 ■ 鍵をしまっておけるキーボックス、だが苦い思い出が…… ということで導入したのはキーボックスだ。キーボックスとは、鍵を入れられる小さい金庫のようなもの。一般的にはダイヤルロックになっていて、暗証番号さえ分かれば、だれでも開けることができる。アパートの内見用の鍵の保管や、最近だと民泊の鍵の受け渡しなどでも使われているようだ。 ただ、実はキーボックスという選択には少し消極的だった。というのもキーボックスを以前に使ったことがあって、その際に痛い目にあったのだ。 当時、家の鍵を会社に忘れたことがあって、その対策として導入した。とは言ってもそうそう鍵を忘れることもないので、ドアノブなどではなく、普段人目の付かない場所にキーボックスを設置したのだ。 直接は雨がかからない場所を選んだが、そうは言っても屋外だ。いざ使おうと思ったときには、キーボックスはほこりにまみれ、蜘蛛の巣が張り、おそらく湿気もあったのだろう、ボックスが腐食して塗装が浮いている状態。ほこりで動きが渋くなったダイヤルをなんとか動かして番号を合わせてみるも、なぜか開かない……。 もしかしたら暗証番号が違うのかと、思い当たる暗証番号をいろいろ試してみるがどれもダメ。どうも中のロック部分が固着して、暗証番号が合っていても動かなくなっているようだ。 結局夜中に大家さんに事情を話して家の鍵は開けてもらい、キーボックスは破壊して開けることにした。実はボックスが全体的に腐食していて、破壊するのも結構簡単にできてしまった。こうなると安全面でも不安が残る。 そんなわけで、キーボックス自体が悪いわけではないのだが、筆者のような使い方、数年に一度という使い方だと、いざ使うときに壊れているんじゃないかという不安があるのだ。多少高価でも防水性が高く、それとダイヤルロックではないものを選びたい。 ■ 防水性能IPX5、電池切れでも動かせるスマートなキーボックス というわけで見つけたのが「Lockin Smart Lock Box L1」だ。 言うならばスマートキーボックスと呼べるような、スマホで操作可能なタイプで、Wi-Fiのハブを組み合わせれば、遠隔地から解錠することもできるらしい。同じようなスマートキーボックスは他にもあって、指紋認証に対応しているようなものもあったが、実際に利用するのは数年に一度程度だと思うと、そこまでのスペックはいらない。Lockinはその分価格は手ごろだし、それでいて日本国内では法人向けのサービスでも利用されているなど、ものとしてはしっかりしていそうだ。 防水性能はIPX5で、素材にはクルマでも利用されるSPCC材が使われる。 暗証番号はキーパッド式で、他社のスマートタイプの製品はタッチパネルが多かったが、これは物理ボタンになっている。使用頻度が高いならタッチパネルのほうが物理的な故障に強そうだが、使用頻度が低いなら物理ボタンのほうが安心感がある。もちろん暗証番号でも解錠できるが、スマホとBluetooth接続で解錠できるのもいい。いざ使うときに暗証番号を忘れている可能性もあるが、スマホで開けるならその心配も不要だ。 電池で動くので、いざというときに電源が切れている可能性はある。ただそこもよくできていて、外部にUSB Type-Cのポートがあって、そこにモバイルバッテリーなどを繋ぐことで、内部の電池が切れていても作動させることができるのだ。 ■ 六角レンチの収納場所まで、細かなこだわりがやけにスゴい!! ということで届いた商品を見てみよう。 まず手にして感じるのが重さだ。筆者もそんなにたくさんのキーボックスを触ったことがあるわけではないが、これは重く、998gもある。モバイルノートPCと同レベルだ。サイズは幅79mm、高さ141mm、奥行きが46mm。これもあくまで比較的だが大きいほうだと思う。 パカッと開けると、基板からロックのアクチュエーターまで全てがフタ側に収まっている形だ。そのため外寸の奥行きと比べると、収納スペースの奥行きは狭い。とは言っても、例えばクルマのリモコンタイプのキーや、カードキーなどでも入るサイズなので、キーボックスで想定される利用範囲では十分過ぎるサイズだ。 キーボックスというとダイキャストなどの鋳物が多い印象だが、これは鋼板を曲げて作られている。素材のSPCCというのは鉄を冷間で薄く延ばした鋼板のことなので、まさにそのもの。ただしSPCCはサビに弱いので、結構しっかりとした塗装がされている。つや消しのグレーがかったブラックで、手触りとしても少しざらついた塗装は、高級感が感じられる。 固定は、南京錠のようにシャンクでドアノブなどに固定する方法と、本体を直接壁などに固定する方法を選べる。シャンクの刺さる穴、および壁に固定する用の穴には、それぞれゴムのフタが用意されているので、使わないほうの穴はふさいでおける。こういうところもなかなかちゃんとしている印象だ。 電池はフタの裏側に入れる形になり、そこにさらに鋼板の内ブタをネジ止めする。つまり電池を交換するたびに8本のネジを外す必要があるのだが、なんでここをそんなに頑丈にするのかはよく分からない。むしろ電池は外からアクセスできるようにしてくれたほうが、電池切れでもすぐに対応できるのに、という気はするが、それはそれでいたずらされちゃうのかな。 もうひとつ残念なのは、防水なのはどうやらメカ部分だけの話のようだ。フタのフチなどに防水となるシールのようなものはなく、雨ざらしにしたら、たぶん中の鍵は水浸しになると思う。リモコンキーなどを入れておくなら、雨ざらしにはならない場所に置くか、ビニール袋に鍵を包むなどしておいた方がいいだろう。 ■ Bluetooth接続でアプリで解錠、オフラインで臨時パスワードの生成までできる 付属の電池を入れて8本のネジで鋼板の中ブタをしたら、続けて専用アプリ「Lockin Home」をインストール。初めて使うのでアカウントを登録したら、アプリでBluetoothを使えるようにして、キーボックスのそばで「デバイスを追加」を選べば「Lockinbox L1」が見つけられる。それまで施錠されなかったが、ペアリングできた時点でロックがかかる。 続けてパスワードを設定。パスワードは6~10桁の数字で、複数のパスワードの登録も可能だ。パスワード自体に名前を付けられるので、自分にだけヒントになるような名前にしておくのも良いと思う。 家族のスマホでも使えるようにする場合は、家族のスマホにもアプリを入れてアカウントを作成してもらう必要がある。自分のアプリ上でグループを作成し、そこにメンバーを追加する形で招待コードを送る。家族のアプリ側で「グループに入る」を選び、そのコードを入力すれば、自分の作ったグループに参加できる形だ。 家族も自分のパスワードを設定することが可能だ。それによって、だれがいつキーボックスを解錠したのかも履歴として残すことができる。家族で使う分にはあまり必要ないが、会社で使う場合などは、それぞれ別のパスワードを設定しておけば、管理もしやすくなるだろう。 なお、ここで設定したのは永久に使えるパスワードだが、他に一時的に利用可能にする「臨時パスワード」というのもある。しかもオフラインパスワードというのがスゴくて、キーボックスとBluetooth接続できていない状況でパスワードを発行し、そのパスワードだけで解錠ができてしまう。この製品は別売の「BCL-Wi-Fi Bridge」というハブを使うことで、遠隔地からでも操作できるようになるらしいが、個人利用であれば、単体でほぼ事足りてしまうだろう。 ■ 電池切れの心配? 外部のUSBポートから給電できて問題なし! 最後にUSB給電による動作をチェックしたい。電池切れで動かなくなったときに、外部から給電することで作動させるというものだ。おそらくスマートロックが動かなくなることはそうそうあることではないはずなので、いざ使いたいときに電池切れになっている可能性は大いにある。アプリから電池の残量は確認できるものの、トラブルは大体忘れたころにやってくるのだ。 電池が空の状態を再現するため、一度本体から電池を外して、テスト。モバイルバッテリーを繋いで動かしてみると、当たり前ではあるが動いた! これならいざと言うときも安心だ。モバイルバッテリーは持ち歩いていることも多いが、外の物置に余っているUSB充電器とUSBケーブルを入れておけば、電源の延長コードは物置に入っているので、電源は確保できる。これで完璧じゃないか! あとはキーボックスをどこに置くかだが、やはり家の外からは見えにくく、でも中からはそこそこ見やすい場所にした。そうしないと、またいつの間にかボロボロになっていても気がつかなかったり、あるいはいつの間にか破壊され、鍵を盗まれていても気がつかないのも問題だ。且つできるだけ雨風にさらされないところにしてある(防犯上どこに設置したかは書かないが)。 ちなみにスマートロックは、その後、解錠・施錠位置の再記録というのを行なったところ問題無く施錠できるようになった。その直前にファームウェアのアップデートを行なったので、そのときになにかしら問題が発生したのかもしれないし、非常用電力を使用したというエラーもあったので、電池の電圧などの問題だったのかもしれない。 こういったトラブルはもう二度と起こらないかもしれないが、今スマートロックを使っていてバックアップが欲しいと言う人は、検討してみてはいかがだろうか? INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。もし今テレワークに困りごとを抱えているなら、解決するグッズが見つかるかも!? バックナンバーもぜひお楽しみください。
INTERNET Watch,瀬戸 学
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