アラムコとアブダビ国営石油、豪サントスの買収検討中-関係者
(ブルームバーグ): サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコとアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油(ADNOC)は海外でのガス投資拡大を目指し、オーストラリアのサントスに対する買収提案の可能性を別々に検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
アラムコとADNOCは、サントスを買収対象候補として予備的な評価を行っている。部外秘情報だとして関係者は匿名を条件に話した。サントスの株価は4日のシドニー市場で一時、前日比6.5%上昇し、約2年ぶりの高値を付けた。終値は4.2%高。時価総額は260億豪ドル(約2兆8200億円)。
サントスはオーストラリアとパプアニューギニア、東ティモールで液化天然ガス(LNG)プロジェクトを展開しており、需要が急増するアジアとの近さが評価されている。また、豪国内市場に特化したガス事業や、アラスカに従来型石油資産も保有している。
湾岸諸国は、エネルギー転換の重要な橋渡し燃料と目されるガスに多額の投資を行っている。カタールはLNG輸出能力をほぼ倍増させる計画で、サウジとUAEは国内油田に投資し、世界的な取引事業を構築している。
アラムコは6月、米センプラのテキサス州LNG輸出プラントに出資するための最初の合意をまとめており、同プロジェクトからの燃料出荷も合意に盛り込んだ。ADNOCも買収を推進しており、エネルギー業界で最も積極的なディールメーカーの一社となっている。先月にはドイツの化学メーカー、コベストロ買収の可能性について具体的な交渉に入る方針を明らかにした。
関係者によると、サントスは他の買い手候補からの関心を集める可能性もある。アラムコとADNOCの検討は進行中であり、両社は提案を進めるかどうか決めていないという。
アラムコは発表文で、サントスへの買収提案を検討中との報道は「不正確」だとの見解を示したが、詳述はしなかった。ADNOCとサントスの担当者はコメントを控えた。