日本人の死因第1位の「がん」。治療費や入院費は具体的にいくらかかる?
日本人の死因として最も多いのは「がん」です。国立がん研究センターによると、2019年時点で約99万例が、がんの診断を受けました。がんの治療には、状態にもよりますが多額の入院費や治療費がかかります。 がんによっては先進医療を利用することもありますが、公的医療保険が適用されないため注意が必要です。 今回は、もしがんにかかった場合に必要な入院費や治療費についてご紹介します。
日本人の死因トップ3
厚生労働省の「令和4年(2022年)人口動態統計(確定数)の概況」によると、令和4年における死亡者数は156万9050人でした。そのうち、最も多い割合はがんにあたる「悪性新生物<腫瘍>」の38万5797人で24.6%です。死因第2位は心疾患の14.8%、第3位は老衰で11.4%の結果となっています。 がんは全体の約25%を占めており、4人に1人はがんによって亡くなっている計算です。だれにでもがんになる可能性はあるため、万が一に備えて費用を知っておきましょう。
がんの入院費はどれくらい?
がんの入院費は、加入している健康保険の種類によって変動します。総務省統計局の「医療給付実態調査」によると、入院した場合における健康保険ごとの1日あたりの診療費は表1の通りです。 表1
※総務省統計局 医療給付実態調査 表6「悪性新生物<腫瘍>」を基に筆者作成(2023年12月時点) 健康保険全体の平均は7万4280円になります。 ただし、医療給付実態調査は診療報酬明細書をもとにしているため、数値は全額自己負担の場合です。患者は一般的には3割負担なので、平均値から考えると入院した場合の1日当たりの診療費は約2万2284円になります。 また、医療給付実態調査によると、健康保険の平均入院日数は10.5日です。もし平均入院日数で入院したとすると、入院費は約23万3982円かかります。
先進医療を利用するといくらかかる?
がんの治療に先進医療を使うと、公的医療保険は適用されません。全額自己負担となるため、注意が必要です。 一般社団法人粒子線治療推進研究会 重粒子線治療ガイド「治療の流れ」によると、がんの治療で使用する先進医術は、重粒子線治療が代表例で、約300万円がかかるようです。(日本の健康保険証を持っている方の場合) なお、先進医療を利用した場合でも、一般の診察費や薬代などには保険を適用できるので、確認しておきましょう。また、個室の差額ベッド代も保険適用外です。