道の駅にある「農家の梅干し」が絶滅する日…日本各地の梅産地や梅文化が消滅の危機に
「専用の調理場を設けることについては、住居と一緒だと、ペットを飼っている場合もありますし、衛生基準はその人の感覚に左右されてしまうので、仕方ないところはあると思います。 ただ、問題は、漬物を作っているのが、基本的に70代以上の高齢の方が大多数だということ。 そうした中でも、例えば梅干しの場合、和歌山県は基本的に専業の梅農家ばかりなので、設備投資を頑張ろうかという人が多いですが、和歌山以外では専業でやっている人は少ないんです。 そうした状況で、設備を変えるとなると、最低でも150万円以上かかってしまう。 高齢者たちが150万円を設備投資に使い、その分の利益を得られるかというと、かなり厳しいと思うんですよ。実際、愛知の事業者さんなどにも話を聞きましたが、みんなもう諦めるかというムードだそうです」 そんな中、「梅ボーイズ」にも他県から「梅を送るので、加工できませんか」という相談が来るという。完全に廃業するのではなく、製造を諦め、梅の出荷という形で和歌山の梅農家とつながる形を検討しているところもあるようだが、送料の問題もある。 ◆「僕たちが設備投資し、水道面だけ整えて共同経営という形にすれば、みんな使えるようになるんじゃないかと」 「実は新潟や三重、愛知をはじめ、日本にはすごくたくさんの品種の梅があって、全国では全く知られていないような地域でも梅の産地として存在するんですよ。 そんな中、誰も設備投資をしないとなると、その地域の梅産地も梅文化もなくなってしまう。産地の漬物や文化がなくなってしまうのは問題だと思います」 しかし、高齢者の多い産業ゆえに、諦めムードが蔓延している中、「法律に則った上でなんとかしていくしかないかな」と思ったという山本さん。今、進めているのは各地域にみんなで使える製造所を作ることだと話す。 「今回の法改正で、設備が足りず、許可が下りないという農家さんでは今後、梅の栽培だけ継続して梅を生のままJAなどに出荷する予定の方が多いんですね。 そうすると、これまでの設備はおそらく空いてくるので、そういった設備に150万円とか200万円とかで水道面だけ整えた上で加工場にできないかと計画しています。 大きな倉庫を持っている農家さんもいるはずなので、そこで僕たちが設備投資し、水道面だけ整えて共同経営という形にすれば、みんな使えるようになるんじゃないかと。 その上で販路なども一緒に考えていこうと思います。やはり送料の問題もあるので、ある程度の設備があるなら、加工も自分のところでやるのが一番良いと思うんです」